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高校から陸上部→3年で全国区、箱根エースに 転機は「体育祭」…他の駅伝強豪校に目移りせず――帝京大・楠岡由浩

 来年1月2、3日に行われる第102回箱根駅伝は、3連覇を目指す王者・青学大、出雲駅伝を制した國學院大、全日本大学駅伝を制した駒大に加え、前回大会4位の早大と同5位の中大が“5強”を形成するが、本命不在の混戦模様。そんな中、ダークホースの一角に挙げられるのが19年連続27度目の出場となる帝京大だ。エースの楠岡由浩(3年)は中学までサッカーに打ち込み、陸上を始めた高校で全国レベルのランナーに成長。当初は「大学生の大会ということも知らなかった」という箱根で、常連校のエースに上り詰めた足跡を辿った。(聞き手=佐藤 俊、前後編の前編)

前回の箱根駅伝は山上り5区を力走した楠岡由浩【写真:アフロ】
前回の箱根駅伝は山上り5区を力走した楠岡由浩【写真:アフロ】

箱根駅伝注目校インタビュー 帝京大・楠岡由浩/前編

 来年1月2、3日に行われる第102回箱根駅伝は、3連覇を目指す王者・青学大、出雲駅伝を制した國學院大、全日本大学駅伝を制した駒大に加え、前回大会4位の早大と同5位の中大が“5強”を形成するが、本命不在の混戦模様。そんな中、ダークホースの一角に挙げられるのが19年連続27度目の出場となる帝京大だ。エースの楠岡由浩(3年)は中学までサッカーに打ち込み、陸上を始めた高校で全国レベルのランナーに成長。当初は「大学生の大会ということも知らなかった」という箱根で、常連校のエースに上り詰めた足跡を辿った。(聞き手=佐藤 俊、前後編の前編)

 ◇ ◇ ◇

――高校から陸上を始めたということですが、その前は何か部活をしていたのですか。

「サッカー部で、ポジションはミッドフィルダーを中心にプレーしていました。子どもの頃はバルセロナが強い時代で、ネイマール選手(ブラジル)に憧れてよくテレビを見ていましたし、今も好きです。子どもの頃からずっとサッカーをしていたので、最初は高校もサッカーをやるつもりでいたんです」

――なぜ、陸上に転向したのですか。

「中学校の担任の先生が陸上をしていて、体育祭とかで自分が走るのを見て、『陸上をやった方がいい』と勧められたんです。中学の時からけっこう足は速くて、そんなに大きな中学ではないのですが、そのなかでは毎回1番を取っていました。それで高校に入り、気が付いたら陸上を始めていたんですけど、最初の頃はまだサッカーに未練があって、先生に『サッカーをやりたいので、陸上からサッカーに変えたいんですけど』って言っていました」

――ボールを追って走るサッカーからただ走る陸上に転向して戸惑いとかありました?

「サッカーは、走る練習もありますが、ゲームタイプの練習とかいろんな練習があるんです。でも、陸上は本当に走るだけで、ある意味すごくシンプルですし、練習に大きな変化がないので、そこに少し驚きがありました。でも、中学の時、サッカー部で駅伝に出ていて、その時に陸上の練習もしていたので、そこまで困ったことはなかったです。サッカーへの気持ちも高1の最初の頃はけっこう強かったんですが、徐々に陸上に気持ちが向いていきました」

 楠岡がその走力を持って表舞台に出てきたのは、高3の時だった。インターハイの5000mで9位、国民体育大会少年A5000mで3位に入った。5000m13分55秒84のタイムを持ち、サッカー少年は、わずか3年で全国レベルのランナーに成長した。

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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