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慶大4年生で内定辞退、休学「迷ったけど…」 大学5年目、7か月の“延長戦”で縮めた0秒09の価値――陸上・仲子綾乃

滋賀・平和堂HATOスタジアムで3日から5日間行われた第79回国民スポーツ大会(国スポ)の陸上競技。成年女子800メートルに出場した仲子綾乃(静岡・静岡陸協)は2分8秒32で7位だった。慶大4年生だった昨季は、怪我でほとんど大会に出場できず。後期を休学し、学生生活を“延長”して挑んだ今季は、6年ぶりに自己ベストを更新するなど完全燃焼した。中学1年で始まった競技人生の最後の日、喜びも苦しみも味わった11年間に思いを巡らせた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

成年女子800メートルで7位になった仲子綾乃【写真:中戸川知世】
成年女子800メートルで7位になった仲子綾乃【写真:中戸川知世】

国民スポーツ大会陸上

 滋賀・平和堂HATOスタジアムで3日から5日間行われた第79回国民スポーツ大会(国スポ)の陸上競技。成年女子800メートルに出場した仲子綾乃(静岡・静岡陸協)は2分8秒32で7位だった。慶大4年生だった昨季は、怪我でほとんど大会に出場できず。後期を休学し、学生生活を“延長”して挑んだ今季は、6年ぶりに自己ベストを更新するなど完全燃焼した。中学1年で始まった競技人生の最後の日、喜びも苦しみも味わった11年間に思いを巡らせた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

 フィナーレは達成感に満ちていた。

 現役最後のレース。予選8番目で決勝に進んだ仲子は、笑顔でスタートラインに立った。1周目は集団の最後尾を走り、残り200メートルで1つ順位を上げる。体はもう限界。それでも11年間の思いをのせて懸命に腕を振った。2分8秒32で堂々の7位。ありったけの力を出し切り、ゴール後は倒れ込んだ。

「やり切れた感はあって。タイムも順位も良いものではないけど、納得できるレースだった」。そう話す表情は晴れやかだった。

 慶大の中距離ランナーは1年前、思い切った決断をした。

 ラストシーズンとして臨んだ昨季。7月の日本選手権は右膝、9月の日本インカレや10月の国スポには右ふくらはぎの故障で出場できず。不完全燃焼だった。

仲子は慶大4年生で休学を決断。大学5年目のシーズンで6年ぶりに自己ベストを更新した【写真:中戸川知世】
仲子は慶大4年生で休学を決断。大学5年目のシーズンで6年ぶりに自己ベストを更新した【写真:中戸川知世】

 選択肢となったのは、大学4年の後期を休学し、その分の半年間を翌年に持ち越すという方法だった。ただ、就職先も決まっている状況。「もう1年やったところで結果が保証されているわけではないので、『もう1回就活する……? これからどうするんだろう』と不安はあった」と当時を振り返る。

「今しかできないこと、やりたいことの優先度を考えて、それに素直に従った」。就職先の内定を蹴り、もう1年だけスパイクを履くことに。覚悟を持って挑んだ今季は、日本インカレで6位入賞を果たし、日本選手権では6年ぶりに2分7秒00の自己ベストを記録。「育ててもらった先生方のもとで走りたい」と最後の舞台に選んだ国スポでも決勝進出し、完全燃焼した。

「一番達成したかった自己ベストを更新することができた。大学5年間で0秒09しか更新できなかったけど、高校生の自分を超えられたという感覚がうれしかった。迷ったけど続けて良かった」

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