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監督が惚れ込んだ“インハイ3連覇・久保凛”の強さ 練習で競う相手不在、いつも単独走で「僕が凄いと思っているのは…」

ホットスタッフフィールド広島で7月25日から5日間行われた陸上インターハイ。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、困難な環境の中で競技を続けてきた選手などさまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子800メートルで同種目初の3連覇を達成した東大阪大敬愛の久保凛(3年)。7月上旬の日本選手権で1分59秒52の日本新記録をマークして迎えた最後のインターハイで、圧巻の走りを見せた。同校にスカウトし、指導してきたのが野口雅嗣監督。誰よりも近くでその走りを見てきたからこそ分かる強さを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

女子800メートルで同種目初の3連覇を達成した久保凛【写真:荒川祐史】
女子800メートルで同種目初の3連覇を達成した久保凛【写真:荒川祐史】

陸上・インターハイ 女子800&1500メートル/東大阪大敬愛・久保凛(3年)

 ホットスタッフフィールド広島で7月25日から5日間行われた陸上インターハイ。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、困難な環境の中で競技を続けてきた選手などさまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子800メートルで同種目初の3連覇を達成した東大阪大敬愛の久保凛(3年)。7月上旬の日本選手権で1分59秒52の日本新記録をマークして迎えた最後のインターハイで、圧巻の走りを見せた。同校にスカウトし、指導してきたのが野口雅嗣監督。誰よりも近くでその走りを見てきたからこそ分かる強さを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

 ライバルは過去の自分。真夏の太陽が照らすトラックで、この日もまた限界に挑み続けた。

 タイムを狙った800メートル決勝。久保はお馴染みとなったピンクのユニホームと鉢巻きで、勢いよく走り出した。オープンレーンに入ると早くも一人旅。大きなストライドでその差を10メートル以上に広げる。最後の直線も懸命に腕を振り、貫録を見せつけた。2位に2秒40差をつける2分2秒34で3連覇。女子800メートルでは史上初の快挙となった。

 圧勝に偉業。結果だけ切り取れば「さすが」に見えるが、「嬉しいというよりも安心した」と振り返ったレース後の取材で、込み上げてきたのは涙だった。「最後のインターハイでタイム的にも納得がいかない。本数を重ねるうちに体が疲れてしまう弱さがあると思う。同年代の高校生からも感じる部分があったので、もっと強くなりたい」。残り200メートルで思うように体が動かず。左膝に痛みを抱えながらの出場だったが、妥協はない。声を震わせながら言葉を紡いだ。

野口雅嗣監督は久保の走りに将来性を感じでスカウトした【写真:荒川祐史】
野口雅嗣監督は久保の走りに将来性を感じでスカウトした【写真:荒川祐史】

 和歌山・串本町出身。小学生時代はサッカ ーに打ち込み、中学から本格的に陸上競技を始めた。ダイナミックなフォームと積極的なレースに惚れ込んだのが東大阪大敬愛の野口監督だった。中学2年時の近畿総体のレースを動画で見て将来性を感じ、全中で「間違いない」と確信。2月頃に声をかけられ、3年時の5月に練習を見学し、 母と兄弟の住む大阪の家から通うことを決めた。

 同校陸上競技部の練習場所は土のグラウンドと、駐車場などがあるアスファルトを合わせて1周600メートルほどの周回コース。オールウェザートラックなどを所有する強豪校に比べると、決して恵まれた環境とは言えない。そんな中、野口監督が作成する“特別メニュー”などで実力をつけた。1年時にいきなりインターハイを制覇すると、2年時には日本選手権で初優勝。そこからわずか2週間後に1分59秒93の日本新記録を樹立し、3年生となった7月上旬の日本選手権では自身の持つ日本記録を0秒41塗り替えた。今や「久保建英のいとこ」の枕詞はつくことがなくなった。

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