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陸上界に現れた超新星・16歳清水空跳とは何者か 「背の順は1番前か2番」身長164cmで10秒00の理由、同僚もライバルも衝撃の爆発力

「身体の中心の股関節周りから前に突き飛ばすイメージ」が爆発力の秘訣だ【写真:荒川祐史】
「身体の中心の股関節周りから前に突き飛ばすイメージ」が爆発力の秘訣だ【写真:荒川祐史】

身長164センチと小柄も「この体だからこそできる動きがある」

 身長164センチと短距離選手としては小柄。正雄さんは「早生まれだし、背の順は1番前かその後ろ」と明かす。にもかかわらず、異次元の爆発力を生み出せるのはなぜか。

 本人が分析するのは、上半身と下半身の連動性の高さ。それぞれを力任せに動かすのではなく、「身体の中心の股関節周りから前に突き飛ばすイメージ」を体現することで、上半身と下半身がついてきて推進力が高まるという。星稜高にある「骨盤ドリル」や肩甲骨を動かすメニューを取り入れて強化した。

 今大会、共に4×100メートルリレーに出場し、3走を務めた同級生の菊田楓(2年)はその凄さを間近で感じる一人。「加速に乗るまでが速すぎる。伸びもすごいし、全部速い」。100メートル予選で隣のレーンを走った杉山輝(愛産大三河3年)も「最初(スタート)からこんなに違うんだと。自分も同じ身長なのに何が違うんだろう」と驚く。小柄でも世界と渡り合える武器がある。

東京世界陸上の出場も今大会で現実味を帯びてきた【写真:荒川祐史】
東京世界陸上の出場も今大会で現実味を帯びてきた【写真:荒川祐史】

 日本人初の桐生を筆頭に男子100メートルで9秒台に突入したのは、日本記録保持者の山縣亮太、サニブラウン、小池祐貴の4人。体一つで戦う陸上競技は体格も大きく影響する。日本の9秒台スプリンターには170センチ以下の選手はいない。最も大きいサニブラウンで190センチ、最も小さい小池ですら173センチ。世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)は196センチと、世界になると大男ばかりだ。

 それだけに清水の身長が際立つが、本人は「大きい方が有利だけど、この体だからこそできる動きがある。自分なりにやっていく」と頼もしい。参考にしている選手を問われると「いないです。自分は自分で」ときっぱり。自分らしく、自分の道を歩んでいく覚悟だ。爆発力を発揮するその走りは、未来のスプリンターの希望にもなる。

 9月に開催される東京世界陸上の参加標準記録も突破し、出場も現実味を帯びてきた。「観客として行こうかなと思っていた。自分でも受け止め切れてはいない」と驚くが、「遠いはずだった世界陸上が、目の前にあるのかな」と大舞台への実感も沸いてきた。「高校での目標は9秒台を出すこと。そこに向かってこれからも走り続けたい」。石川育ちのスプリンターが再び世界を驚かせる日は遠くない。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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