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球速10km低下、悩めるプロ注目エース好投の裏側 父にすがり電話「思った球がいかない」転機は2人で訪れた公園――東海大相模・福田拓翔

高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は26日、横浜スタジアムで行われた準決勝で、昨夏の覇者・東海大相模が向上に7-6で劇的なサヨナラ勝利。2年連続Vに王手をかけた。逆転劇を呼んだのは、プロ注目のエース右腕・福田拓翔(3年)は7回から3回1安打無失点の好救援。右肘の怪我から復活した裏には父への一本の電話があった。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

7回からリリーフ登板し、3回無失点と好投した東海大相模・福田拓翔【写真:中戸川知世】
7回からリリーフ登板し、3回無失点と好投した東海大相模・福田拓翔【写真:中戸川知世】

第107回全国高校野球選手権・神奈川大会

 高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は26日、横浜スタジアムで行われた準決勝で、昨夏の覇者・東海大相模が向上に7-6で劇的なサヨナラ勝利。2年連続Vに王手をかけた。逆転劇を呼んだのは、プロ注目のエース右腕・福田拓翔(3年)は7回から3回1安打無失点の好救援。右肘の怪我から復活した裏には父への一本の電話があった。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

 普段の冷静さは、最後の夏でアツさに変わった。4-6の7回からマウンドに上がった福田。8回には味方の失策から1死二塁のピンチを背負った。「死ぬ気で抑えてやる」。気迫の投球で2者連続三振を奪うと、雄たけびを上げガッツポーズ。9回も味方の失策から満塁のピンチを迎えるも無失点に。その裏、生まれたサヨナラ勝利を呼び込んだのは紛れもなく背番号1の力投だった。

 最後の夏までの道のりは決して順風満帆ではなかった。3月初めに右肘を痛め、約1か月半ブルペンに入ることができず。春季関東大会の準々決勝では山梨学院相手に4回途中4失点。チームも敗れた。「自分のせいで負けて、本当に迷惑をかけた」。悔しさと申し訳なさを原動力に、エースは完全復活へ再スタートを切った。

 だが、右肘の状態が回復しても課題が1つ残った。「球速が戻らない」。最速150キロを誇る剛腕は悩まされた。すがるようにして父・大介さんに一本の電話をかけた。「思った球がいかないんだ」。普段は強気なわが子の不安げな声に、父も最初は驚いた。それでも諭した。「気持ちが弱気になっていたらダメだ」。5分ほど、電話口で背中を押し続けた。

 準々決勝後に2人で公園を訪れ、シャドーピッチングを実施。「父の協力があって今日の投球が出来た」。誰よりも自分を理解する“指導者”からのアドバイスは心に響いた。球速にとらわれず、直球の質やノビを磨く。最後まで指にかけ、低く伸びる球を意識した遠投を繰り返した。チームの勝利だけを求める、東海大相模の“エース像”が、そこにはあった。

 この日もほとんどの直球が130キロ台後半。だが「今は球速のことを考えていない」とキッパリ。2年連続の甲子園をかけた決勝は27日、永遠のライバル・横浜と対戦する。「相手が横浜だろうと関係なく、自分たちがやってきたこと全てを出し切りたい」。最後の夏はまだ終わらせない。チームの勝利だけを願い、精いっぱい腕を振り続ける。

(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)

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