部員21人で唯一ベンチ外→背番号1へ 甲子園V古豪に力投、屈辱から始まった“元ボールボーイ”の逆襲――金沢総合・村越淳之介
高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は10日、横須賀スタジアムで行われた1回戦で、金沢総合が2-4で法政二に善戦しながら敗れた。先発したエース右腕・村越淳之介(3年)は8回途中2失点と好投。1年夏にはチームで唯一、ベンチメンバーから外れる屈辱を味わった県立校の背番号1が、甲子園V経験のある古豪相手に意地を示した。(THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

第107回全国高校野球選手権・神奈川大会
高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は10日、横須賀スタジアムで行われた1回戦で、金沢総合が2-4で法政二に善戦しながら敗れた。先発したエース右腕・村越淳之介(3年)は8回途中2失点と好投。1年夏にはチームで唯一、ベンチメンバーから外れる屈辱を味わった県立校の背番号1が、甲子園V経験のある古豪相手に意地を示した。(THE ANSWER編集部・戸田 湧大)
独特なショートアーム投法で、強力打線に真っ向勝負を挑んだ。3回に先取点をもらった村越。6回、四球に失策も絡んで2点を失い逆転を許したが、終始冷静なマウンドさばきが光った。「低めやコースに集めて良いピッチングが出来た」。奪三振0ながら8回途中2失点。敗れたものの、番狂わせを予感させる82球だった。
2年前の夏の屈辱から始まった。当時の部員21人のうち、ただ1人、ベンチメンバーに名前が無かったのが1年の村越だった。投手陣の層の厚さを考慮して監督が判断。「悔しい」。初戦で敗れたチームの敗戦の瞬間をボールボーイとして見守ることしかできなかった。「1番になってやる」。そう心に誓った。
あの日から意識は変化した。「失うものはない。やってやろう」。風呂に入っても、湯船に浸かったままボールを上に投げ続け、ひたすら白球に触れる感覚を研ぎ澄ませた。土日は全体練習の1、2時間前からグラウンドに出向き、投げ込むことも。すべては背番号を勝ち取るためだった。
1年秋には投球フォームも変更した。監督の助言もあり、体の軸が横回転になっていた癖を腕を下げることで改善を図った。サイドスローは当初、制球が定まらなかったものの、自ら試行錯誤。テイクバック時に腕を伸ばさずに曲げたまま行う「ショートアーム投法」にしたことで安定した。様々なスタイルを模索し、完成させたオンリーワンの“作品”だ。そして、最後の夏、背中には番号があった。それも「1」が。
目標の1勝を掴み取ることはできなかった。それでも「笑顔で伸び伸びと一生懸命プレーしてほしい」と新チームに未来を託す。自身は引退後、将来の夢である体育の教員になるため、勉強に挑む。ボールボーイからエースの座にまで上り詰めた苦労人。その経験は必ず役に立つはずだ。
(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)
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