医学部生が分析「投手はいつ代えるべきか」 北大野球部、唯一のアナリストが選手を諦めみつけた道

解剖学も野球に活かす…仲間を増やし「もっと広めたい」
さらに継投を、単打や四死球、犠打のあとに交代させたケースと、長打を浴びた後に交代させたケースに分類。傷を広げないうちに継投に踏み切ったほうが、結果的に失点も抑えられるという結論にたどりついた。
他のリーグでのデータが元になった研究だが、自チームでも生かさない手はない。「持ち帰って、コーチと今後どうするか話してみます」。現場での疑問に、アナリストが分析を加えてより良い方向へ持っていくサイクルができている。
野球の現場で、データによる分析や改善を導入する際には、選手や指導者の経験則とぶつかるケースもある。ただ学生が自主的に活動方針を決めていく北大野球部ではむしろ、積極的にデータを求めてくる場合が多いという。投球のデータを測るラプソードはすでに導入ずみ。「データにひと言加えて、選手が結果を出してくれるとうれしいですね」と、やりがい十分の現場だ。
医学部保健学科で学ぶ上田は将来、検査技師になるという目標を持つ。今後進む専門課程には解剖学もあり、それも野球の動作解析などにつなげたいという。学びをすぐ野球部にも還元するのは、大きな夢があるからだ。
「北大野球部が強くなる活動をしていきたい。あとは札六の魅力をもっと広めたいんです」
そのためにも、ともに活動する仲間を求めている。もうすぐ新歓シーズンだ。「メンバー、増えてほしいですね。何とかこの流れが、チームに残るようにしていきたい」。リーグ戦が行われる札幌円山球場のネット裏には、各校のデータ部隊が陣取るようになった。グラウンドの外でも切磋琢磨することで、リーグ全体の力が伸びていく。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)