父はスカウト、息子はドラフト候補 大学侍J入りの飯山志夢、プロ20年の背中から学んだ“職人魂”
ブレない父「やるべきことは絶対にやってから…笑わせにくるんです」
あれから7年。大学でプレーするようになって、より父の存在を大きく感じるという。プロを目指すという方向性がはっきりしてきたからかもしれない。グラウンドでは無口な職人肌と見られた父は、家でもそのままの姿だったという。
「みんなが言うように、ものすごくマジメなんです。家でもとにかくやるべきことは絶対にやってからダラダラする。朝からランニングとかしてるんですけど……」。あまり知られていない、もう一つの顔もあった。「家族で晩ごはんを食べるときには冗談言って、笑わせにくるんです」。
東京で生活する家族と離れ、北海道のチームでプレーする父。事あるごとに1球、1回、1日に集中するよう、説かれながら育った。どんな大きな目標も、小さな一歩をおろそかにしないことから始まると知っている。だから「黙々とやる姿は目に焼き付いています。20年間プロでプレーしたお父さんを超えたいんです」と言い切る。
今年から現役時代の父と同じ背番号「4」を志願してつけた。ポジションも、本当なら同じショートを守りたかった。中央学院高(千葉)2年の春、監督が1か月の期間限定でレギュラー奪取のチャンスをくれたが、認められるだけの結果を残せなかった。遠投120メートルの強肩を生かして外野に転向。立正大では3年春に東都大学リーグ2部で打率.365を残し首位打者。今春も.327の高打率を残した。最後の秋に向け、さらに俊足強打に磨きをかけたいという。
23日の代表候補合宿、スタンドには父の姿があった。知らなかった飯山は「え、来てたんですか?」と驚いた。大学トップクラスの選手の動きをチェックしていた裕志さんも、話が飯山に及ぶと「やっぱり息子ですからね。本人がプロに行きたいと言えば、親としては背中を押すだけですよ」と、ここばかりは父親の顔だ。職人魂を受け継いだ親子。秋のドラフト会議ではどんな結果が待っているだろうか。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)