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30年前に県優勝も廃部の現実 人口5万人の白岡市、部活動の地域移行を先行実施する理由

学校と連携しながら「生徒による主体的な活動をサポート」

 では学校部活動と地域クラブ活動は、どこが決定的に違うのか。まず前者が学校管理下の教育活動で、指導者が当該校の教師であるのに対し、後者は学校管理下ではなく指南役も地域クラブ活動指導員となる。しかし、この指導員は従来の外部コーチなどとは異なり、教員が帯同しなくても単独で指導できる権限を持つことで、教員の負担軽減につながる。

 地域クラブ活動が学校管理下から外れるとはいえ、石島指導主事は単なるクラブチーム化ではないことを保護者に訴えてきた。「学校と連携しながら生徒による主体的な活動をサポートする取り組み。これを理解してもらった上で展開するのが白岡市のスタイルであり、一番の特長だと思います」と、地域クラブ活動も教育の一環であることを強調した。

 白岡市は23年度中には、市内すべての部活動で地域移行を進める計画だ。最終的には地域を主体にした持続可能な部活動を目指している。

 部活動は日本社会に古くからある文化や慣習と言えるもの。それを大刷新しようという今回のような試みは、過去には例がない。

 地域クラブ活動は、どんな方向に進むのが理想なのか。

「優先順位はまず子供なので、生徒が有意義と感じる部活動にしないといけません。子供の視点を忘れないことです。先生を頼っている生徒は大勢いますから、学校との連携を密にすることや兼職兼業により先生に地域クラブ活動の指導者になってもらうことも有効です」

 埼玉県の公立中学で13年間の教員生活を送り、卓球や軟式野球など複数の部活動で顧問を務めた石島指導主事。教員と行政、両方の立場を理解しているだけに、学校部活動と地域クラブ活動の成功へ深謀遠慮を巡らせる毎日だ。

(河野 正 / Tadashi Kawano)

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