162キロ計測に衝撃、東北福祉大の1年生右腕・堀越啓太 球速を伸ばした練習法とは
大学1年目で課題に直面、球速アップ以上に重視すること
「野球ボールは手先だけで投げられてしまうけど、バレーボールは思い切り腕を振っただけでは引っ掛かってしまうし、大きく抜けることもある」
投げるのが困難なバレーボールを、体全体を使って投げることで、筋肉を使ったパワーピッチングが身についた。
成果はすぐに現れ、ブルペンでの投球では高3の12月中旬に150キロ、1月下旬に155キロを計測。大学では試合でも安定して150キロ以上を出せることを証明した。
充実の大学1年目のシーズンで手応えをつかんだ一方、課題にも直面した。
堀越が真っ先に思い出すのは、リーグ戦で唯一の失点を喫した秋の仙台大戦。負ければ相手の優勝が決まる大一番で0-0の7回からマウンドに上がると、味方打線が1点を先制した直後の8回に同点打を浴びた。痛かったのは先頭打者への四球だ。
この時の悔しさを胸に刻み、「四球の率を減らすこと」を最大の目標に掲げるようになった。それに加え、「今はストライクゾーンを目がけて投げていて、細かい投球、頭を使った投球ができていない。変化球やボール球を上手く使って投球の幅を広げなければならない」と自己分析している。
今オフも球速アップ以上に、スライダー、フォークなど変化球の精度を高めることに重きを置いてきた。
大学生としては異次元の数字を出した以上、今後も球速が注目され続けることになるだろう。本人も「どうしても球速の部分を見られると思う」と自覚している。
ただ、大学2年目での球速の目標を尋ねると、「ない」ときっぱり。「155キロより速い球が1球でも投げられればいい」とやや控えめな回答が返ってきた。
「球速だけではプロに行けない時代。総合的に評価される投手になりたい」
傍から見れば今すぐにでもドラフトにかかりそうな逸材だが、本人は至って冷静だ。ドラフトまで、残りあと約3年。その向上心は、とどまることを知らない。
(川浪 康太郎 / Kotaro Kawanami)