「日記を読むと、分かるんです」 箱根の号泣から1年、國學院大・平林清澄を支える秘密
描く絶対的エース像は駒大・田澤「絶対に外さない選手なんです」
心の隙をなくした先に描く、自分の姿。それは『絶対的エース』だ。今の平林は、駒澤大の田澤廉(4年)をイメージする。
「今、全大学を見渡して誰がエースか?と聞かれたら、やっぱり皆、田澤さんを思い浮かべると思います。
何故、田澤さんがエースなのかなと考えるときがあるんですが、僕のなかでは『絶対に外さない』選手なんです。どんなコンディションであれ、どんな大会であれ、絶対に外さない。たとえ本人が『外した』と思っていたとしても、周囲は気づかないし、勝ってもくる。
多分、今の駒澤は駅伝で前を走る選手と2分差ぐらいあっても、『田澤さんに襷が回れば勝てる』と思っている。逆に僕らは『2分差ぐらいないと勝てない』と思ってしまう。そのぐらい、精神的余裕が全然違うし、そう出来るのがエースだと思うんです。
田澤さんには詰めの甘さがない、隙が無い。だから、自分も隙がなくなれば、エースになれるのかなと思っています」
今年、國學院大は出雲駅伝、全日本駅伝とも、今年、初の三冠を狙う駒澤大に続く2位でフィニッシュ。駅伝シーズン締めくくりとなる箱根駅伝は、いやが上にも注目が集まる。
「でも、僕自身の駅伝での目標や取り組むスタンスは、変わりません。
昨年の箱根からずっと言っている目標に、『4年生への恩返し』というのがあります。お世話になった4年生に対し、最後、僕に何が出来るかと言ったら、箱根でチームに貢献することしかないかな、と思っていて。今の力を精一杯出し切り、チームの目標に向かって貢献できる走りをしたいです」
自分のためではなく、チームのために、走る。中学時代から変わらず抱く、駅伝への情熱を胸に、平林は二度目の箱根に挑む。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)