高校日本一で「震える気持ち味わった」 徳島で明かされたバレー荒木絵里香の成長物語
「自分が苦しい時は周りも苦しい」 そんな時に大事なのは周囲への「声かけ」
次第に話に熱気がこもり、授業中も「きちんと水分補給をするのを忘れないで」とポカリスエットで給水しながらの講義となった。話は生徒たちが「今、どんな気持ちで部活動に取り組んでいるか」という話題に。部活動では、つらいことや苦しいことにも直面するが、荒木さんは周囲への「声かけ」の重要さを口にした。
「自分だけで頑張ろうと思ったら視野は狭くなるけど、そういう時に周りに声をかけたら自分も頑張れるし、その人も頑張れる。そうすればチームももっと大きくなれると思います。自分が苦しい時は周りも苦しい。そういう時はあえて周りに声をかけていったほうがいいですね」
荒木さんは銅メダルを獲得したロンドン五輪だけでなく、結婚、出産を経て復帰した後も日本代表に選出され、キャプテンの大役を任された。そのキャプテンシーの強さや大きさは活躍を通じて多くのファンの知るところ。就任当初は悩みの多い日々を送っていたという。
「私はミドルブロッカーという役割で、プレー的に先頭に立ってグイグイ引っ張っていくようなキャラではなかった。だから先頭に立つのではなく、チームの真ん中でみんなを鼓舞し、士気を上げ、熱量を持ってやる。私にできるのはそれだと思っていました」
授業の終盤では「先生などに怒られた時はどうすればいいか」という質問を受けた。「怒られた時は落ち込んでしまって、プレーも弱くなっちゃうよね」と大きくうなずいたが「ネガティブなことやマイナスのことを“頑張るエネルギー”に変えられればいいと思う。相手に言われたことは変わらないけど、捉え方は自分で決められるので」といったメンタルコントロールの方法も伝授した。
ちなみに「高校時代は先輩にも怒られたけど、後輩にも『やる気がないなら出ていけ』と言われたこともありました」という裏話も披露し、生徒たちがざわつく場面もあった。
45分間の特別授業を終えて、地元テレビ局の取材を受けた荒木さんは「生徒たちの目がキラキラしていて、まっすぐに学生生活を送る皆さんを心から応援したいと思いました」とエネルギーをもらった様子。目前に迫るインターハイについては「学生時代の試合の経験は、競技だけでなく人間形成の中ですごく特別な期間。選手たちにはスペシャルな時間を味わってほしいと思います」とエールを送った。