9連覇以来の復活V帝京大 号泣した主将、メンバー外にも植え付けた「ガツガツ」の意識
名将・岩出雅之監督が認めた主将の強さ「熱量をみんなに示していける」
試合後の会見で退任を発表した岩出雅之監督は、この1年の歩みについて「細木主将に尽きる」と断言。「本人も成長しながらしっかり周りを逞しくしてくれた。僕らはそれを一生懸命支えていこうということだけ」と頼りにした。苦難を乗り越えたキャプテンの素晴らしさを問われると、名将は目を細めながらこう答えた。
「2点あります。戦う気持ちの強さ、熱量をみんなに示していけるところ。もう一つはフィールドで答えを出してくれるところ。スクラムでは特に圧倒して、マイボールスクラムを狙っていける。計算できて安心して見ていられます。指導者としてもそう見られるし、選手たちはもっと安心できると思う。
(成長が表れたのは)最後のインタビューで涙する姿じゃないですかね。人はみな幼いところから成長する。みんな大人と子どもの分かれ道が来る。細木の成長に尽きると思う。そこに学生たちがついてきた。これからも就職先でいろんな挑戦がある。もっともっと逞しくなっていってほしいし、いくだろうと思う。(未熟だった)過去のことはもういいんじゃないですかね。彼の前を想像したい」
1996年に就任した岩出監督の退任は、細木だけが数日前から知っていた。「彼は一緒に卒業をしていくし、大丈夫かなと思って」と、指揮官は揺らがぬメンタルを信頼。そんな恩師の花道を飾った細木は、学生最後の年に初の大学日本一に輝いた。
「僕たちがプライドを持っているスクラムで試合を通して圧倒できたのは、これからの僕の人生においても、そしてチームの未来にも繋がると思う」
絶対王者の復活。確かな足跡を残した主将の目は赤く腫れていた。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)