初心者もいる最強女子ホッケー部 インハイVの岐阜各務野が見せた「大会中の成長」
全国高校総体(インターハイ)ホッケー競技女子。得点女王に輝いた岐阜各務野のFW佐々木里紗の笑顔が弾けた。前キャプテンの河田真緒(東海学院大1年)が率いた昨年は、コロナ禍で戦う舞台を失った。
先輩との約束を果たしたインターハイ制覇
「河田先輩に金メダルを掛けに行きます!」
全国高校総体(インターハイ)ホッケー競技女子。得点女王に輝いた岐阜各務野のFW佐々木里紗の笑顔が弾けた。前キャプテンの河田真緒(東海学院大1年)が率いた昨年は、コロナ禍で戦う舞台を失った。
「(3回戦の)丹生戦が終わった後にメッセージをもらって、『自信持って、思い切ってやってこい』って言われました。『獲ったぞー』って伝えたいです」
去年出られなかった悔しさを胸に戦った夏。岐阜各務野は先輩との約束を果たし、8年ぶりに優勝を果たした。
8-0、5-0、7-0。全出場チーム中最多の20得点。エース・佐々木を中心にした、力強い攻撃は際立っていた。相手の対策を上回り、真っ向勝負でねじ伏せた。高い位置からプレスを掛けてボールを奪うと、大塚みなみと平光杏衣で右サイドを崩して、最後は佐々木が泥臭く仕留める。素早いリスタートから山藏百音がゴール前に鋭くボールを打ち込み、FW陣がきっちりと合わせる。
ペナルティコーナー(PC)は、ゴールラインから山藏がパスし、大塚が止めて、平光がシュートするワンパターンのみだった。「変化球なしのストレート勝負。相手もそれを分かって止めようとしてくる中で、ヒッターがどう打ち抜いていくか。これだけ練習してきているんだから、逃げずに叩き込めばいいやんって」と長尾美和。“ストレート1本”で勝負し、PCから3試合計で6点をもぎ取った。
「彼女たちが充実していましたね。直前の練習試合ではどうなることかと思っていましたが……」。普段は厳しい姿勢を崩さない長尾監督も、小、中学で日本一に輝き、この大舞台でも違いを見せつけたタレントたちを称えた。
「この夏勝ったことによって3冠の挑戦権が取れました。彼女たちの最終目標は3冠で、まず一つ目の通過点の大会を獲って、指を1本上げた写真が撮れる。秋に2本目、冬に地元で3本目。最高の舞台を彼女たちが自分たちで演出できるか。やってくれるとは思っているんですけど、そのためにはまだ課題が相当ありますから」
岐阜各務野が見据えるのはインターハイ、国体、選抜の「3冠制覇」。インターハイはゴールではなく、あくまで最終目標を達成するための成長過程に過ぎない。「まだまだ発展途上のチーム」と長尾監督は話す。
「うちは初心者がいますので、(前監督の)安田(善治郎)先生がいつも仰るように、練習でも上手くなるんですけど、大会を通じて上手くなっていくのが(伝統)。大会を通じて成長がとても見られましたし、成長したからこそ課題が見つかったということです」