実践学園が4年ぶりインハイ出場 MF入江友規が「父の教え」で鍛えた左足で決勝点
サッカーの全国高校総体(インターハイ)出場をかけた東京都高校総体は19日に準決勝を行い、8月に福井県で行われる全国大会に出場する2チームが出そろった。第2試合では、実践学園高が3-1で駿台学園高を破った。
実践学園が3-1で駿台学園高を撃破
サッカーの全国高校総体(インターハイ)出場をかけた東京都高校総体は19日に準決勝を行い、8月に福井県で行われる全国大会に出場する2チームが出そろった。第2試合では、実践学園高が3-1で駿台学園高を破った。
試合の序盤は、両サイドに起点を作る駿台学園が優勢。準々決勝で鎖骨を負傷したエースFW清水大輔(3年)を欠く実践学園が伝統の堅守速攻で対抗する中、思わぬ展開から点が動いた。駿台学園は味方のバックパスを処理しようとしたGKが空振りしてオウンゴール。雨が降りしきる中で起きたアクシデントで、実践学園が先制した。しかし、駿台学園は、後半10分にFW鶴岡飛嘉(3年)が逆サイドへ展開したパスから右MF村上豪(3年)がヘディングシュートを決めて同点とした。
その後も互角の展開が続いたが、後半28分に均衡が崩れた。実践学園は、MF渡辺創太(3年)が右に展開すると、MF入江友規(3年)がカットイン。左足のシュートをゴールへたたき込んだ。右利きだが、深町公一監督が「あの子は、シュートは上手。右でも左でも蹴れる」と評価する。
その一撃の背景には、父・和浩さんの教えと、自分自身の決断がある。入江は「小学5年生になったタイミングで、お父さんから『左足を練習して両足で蹴れるようにした方が良い。そのうち、いいことがあるから』と言われた。最初は、得意な足より練習しなければいけないことに納得できなかったけど、大事な場面で出た。お父さんにも感謝したい」と左足のシュートを得意としている理由を明かした。ただ、中学時代は、途中からDFで起用されるようになり、左足でシュートを打つ場面はほとんどなかった。
DFとして実践学園に入学後、空中戦に強いチームメイトが揃っていることを知ると、入江は、同じポジションでは勝てないと判断した。まだ1年生でコンバートの希望を指導者に伝えることはできなかったが、仲間内でポジションを決めるゲーム形式の練習時にFWを志願して持ち味をアピール。さらに練習試合でFWを任された試合でハットトリックを決めて前線に定着した。父と子がそれぞれに考えた、ピッチに生き残る術が報われた。
実践学園は、後半終了間際にも入江のラストパスから途中出場のFW牧山翔太(2年)がダメ押しとなる3点目を奪って勝利を物にした。関東大会では、全国大会の常連校である前橋育英高校(群馬)に1-4で完敗。主将を務めるDF土方飛人(3年)は「自分たちは、1年次から全国ベスト4を目指している。ここからレベルを上げて、全国基準で戦えるようにしたい。前橋育英に大敗して、自分も主将としてリーダーシップが全国基準じゃないと思った」と関東大会の経験を糧としてきたことを明かした。
その基準に達したかどうか、どれだけ足りないかを知るための舞台の切符を得た。突破力があり、攻撃の主軸を担っている左MF笹原勘太郎(3年)は「全国ではとにかくゴールを決めたい。前橋育英戦では、パスやトラップのちょっとした差が1-4と大きく開いた。あれから良いトレーニングができている。やっぱりコイツだなと言われる選手になりたい」と大舞台に挑む気概を示した。それぞれが悔しさの中で学び、磨き直してきたプレーを全国大会にぶつけに行く。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)