エースがPKを外すということ 清水桜が丘が敗退を笑顔で受け入れられた理由
運命のPK戦、白井は4人目のキッカーに
左腕を動かせない中での戦いは当然、苦戦を強いられた。相手選手を背負うことが難しく、プレーの幅はぐっと狭まっていた。それでもフィジカルコンタクトを許さない瞬発力で守備陣を交わしチャンスを演出するなど、エースの風格を随所で発揮してみせた。
その後、1点ずつを奪い合った両校は互いに譲らずPK戦へと突入。白井は4人目のキッカーとしてペナルティーエリアに向かった。助走に間を入れてタイミングをずらす。しかし、シュートは相手GKの好セーブに遭い、両チームで初の失敗となった。
頭を抱え、うなだれながら引き返す白井。しかし、彼の戻る先で待っていたチームメートは、笑顔を浮かべていた。頭をポンと叩き、肩を組んで白井を迎え入れた。
最終的に高川学園は5人全員が成功し、2回戦に進出。清水桜が丘は無念の敗退となった。あと一歩で競り負けるという悔しさの残る展開。しかし敗戦後、白井以外、ピッチに泣き崩れる選手はいなかった。悔し涙を流す白井を、チームメートたちは気丈に振る舞いながら励まし続けた。PKを失敗した主将に対し、誰一人落ち込む姿を見せようとはしなかった。