明成、「ピンチはチャンス」で8強 八村阿蓮のファウルトラブルが生んだ“想定外の顔”
主力の穴を全員でカバー、主将も対策に自信「あまり、不安はなかった」
明成は、身長186センチの蒔苗勇人を投入。そのまま八村の代わりをするわけでなく、特に攻撃はシューターの田中裕也、長身シューティングガードの相原アレクサンダー学を軸とした攻撃に切り替えて、相手を翻弄した。
海千山千の佐藤久夫コーチは「阿蓮は(4ファウルの後)良くやった。我慢をして、やるべきところをやった。阿蓮がファウルトラブルでいなくなって、向こうの想定外のゲームになったのではないでしょうか。洛南(の準備)は、阿蓮がいての想定ゲーム」と主力の離脱を逆手にとって相手のプランを崩しにいったことをほのめかした。
準備は、できていた。明成の主将を務める相原は「阿蓮が(ファウル)4つになった場合のことも練習してきた。僕たちに任せてくれたので、自分たちが自信を持って強気でやらなければいけないと考えた。あまり、不安はなかった」と振り返った。
後半、八村は守備に専念。ファウルに気をつけながらのプレーだったが、リバウンドやインターセプトで活躍した。特に終盤は、追いつこうと必死の相手が放つシュートのこぼれ球でリバウンドに勝ち続けた。攻撃は田中と相原がリード。田中が3点シュートを沈めれば、相原は難しいフェイドアウェイジャンパーを遠くから決めてみせ、ともに18得点を叩き出した。大黒柱のファウルトラブルをしっかりと乗り越え、粘る洛南との接戦を勝ち切った。
まだ、負けるわけにはいかない。そのために、あらゆる局面を想定してきた。インターハイの決勝戦では、福岡大大濠(福岡)に1点差で敗れて栄冠を逃した。目標は、あと一歩で逃した日本一だ。翌27日の準々決勝では、広島皆実(広島)と対戦する。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)