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「誰に対しても全力勝負です」 高校生に“本気を出した”重量挙げ・三宅宏実のエール

高校生と「全力勝負」、三宅が一つ一つの質問に「ありがとう」と添えたワケ

 三宅も嬉しそうに思わず声を弾ませた。高校生の一つ一つの問いに対し「質問ありがとうございます」と必ず添えて返答した1時間。授業後の取材で意図を説明してくれた。

「やはり私のモットーと言いますか、誰に対しても全力でやりたいというのがあります。1対1でせっかく質問していただいているので、それに応えて『質問してくれてありがとう』と。全力勝負ですね(笑)。1対1であり、人と人とのやり取り。純粋にウエイトリフティングの競技者としての話をしたいという気持ちでした」

 限りある時間でも、なんとかものにしてほしい。そんな思いを溢れさせ、“本気を出して”伝えた。質問を受けると「なんでそう思う?」「どうしたらいいかな?」などと2、3個の質問を投げ返す。掘り下げるようにキャッチボールを繰り返し、一人の生徒が何に悩んでいるか知るよう努めた。

「きっとみんなここ(胸)に根はしっかりあると思いますが、(コロナ禍で)迷っていて選択肢を探しているのかなと。きっと自分が思っていることを言葉に出したら、何かスッキリしたり、『自分はこういうことを考えているんだ』という場になったりする。一方的に話をすると、それは私の経験を語るだけになるし、相手があっての答えになるのかなと。やはり相手を知らないとアドバイスできないですし、一緒に会話をしたいと思いました」

 普段は高校生と交流する機会などない。自身の高校時代を振り返り、ぐんぐんとタケノコのように成長した頃を思い出して今回の授業に臨んだ。この日話したことが完全に理解されるのは、数年先、彼らが大人になってからかもしれない。だからこそ、いま努めたのは「とにかく今は練習。全力でやってください」というシンプルな思いを伝えることだった。

「高校生って勢いで何でもできちゃう。それが高校生のいいところ。たくさん練習して、自分で感じてレベルアップしてほしいです。たくさん練習すれば、また何かが見えてくる。何かしらの言葉が参考になって、いい機会になればいいなと思いますね」

 1時間の授業の最後、三宅は一人でも多くの生徒が充実した日々を送れることを願い、高校生へ力強いエールを送った。

「私も力不足。フォームもまだまだ未完なので追い求めています。何年続けてきても難しいなと。でも、そこが面白い。高校3年間は青春。やればやるほど自分に返ってくるので、とにかく全力でたくさん練習してほしいと思います。毎日の積み重ねが本当に大切。自分に限界をつくらず、毎日限界にとことんチャレンジしてほしい。指導者との信頼関係も大事です。ウエイトリフティングが好きという純粋な気持ちでチャレンジしてほしいなと思います」

 未曽有のウイルスで最大の戦う場を失った高校生。5月末の初回から5か月間で数々のアスリートやOBが「彼ら、彼女らのために」の思いで賛同し、本音を込めてエールを送った。他の誰でもない、憧れの人とぶつかり合った特別なオンライン授業。1時間という一瞬の出会いの中でもらったエールが、それぞれの心に永く残っていくはずだ。

■オンラインエール授業 「インハイ.tv」と全国高体連がインターハイ全30競技の部活生に向けた「明日へのエールプロジェクト」の一環。アスリート、指導者らが高校生の「いまとこれから」をオンラインで話し合う。授業は「インハイ.tv」で配信され、誰でも視聴できる。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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