夢の渡米にコロナの壁 留学7日で帰国も…異例挑戦18歳MFに「不安はない」理由
コロナ禍の後輩たちへ伝えたいこと「つらいと思うけど、前に進み続けてほしい」
現在は兵庫で語学の勉強、自宅ガレージでのトレーニングなどに励む毎日だが、コロナ禍に苦しむ後輩のためにやっていることがある。「1人だと限界があるけど、2人なら選択肢が増えますから」。公共交通機関は使用しない、人ごみには近づかない、ランニングやボールを扱った練習など全てで2メートル以上の距離を設けるなどの感染症対策を徹底したうえで、神戸弘陵の後輩の自主練習に付き合っている。
夏の全国高校総体は、史上初の中止が決定。後輩たち、特に3年生の無念は計り知れない。沖吉は「つらい気持ちは十分にわかります」としながら、後輩に向け「前に進み続けてほしい」とエールを送っている。
「自分の時にはなかったことなので、簡単に言えることではないですが、ずっと引きずることがもったいないのは確かだと思います。今できることを見つけて、前に進み続けてほしい。大学でサッカーを続ける子もいますし、高校サッカーで報われなかったとしても、そこまでのプロセスが絶対に参考になるし、大学で開花して『あの苦しい時期に努力した賜物だな』と思えたら素晴らしいことだと思います。
僕もいつアメリカに行けるかわからないし、今後どうなるかわからない状況ですが、不安や恐れはありません。苦しい時にどうすれば良い成果が返ってくるか、サッカーを通じて学んだからです。何をやっても苦しい時期や思い通りにいかない時期はある。何か言い訳を付けてやらないのか、ひたすら自分の希望を見つめてやるかなら、後者の方がいい。だから、後輩たちには『誰よりもこの時期を実りあるものにしてやる!』って思えるようになってほしいとお勧めしたいです」
気持ちを切り替える難しさは理解しつつも、強いメッセージを送った。夢の1つに「人の笑顔を作る」ことを掲げ、中学時代から様々なジャンルの書籍を読み漁ってきた努力家は、今を懸命に生きることの重要さが身に染みてわかっている。「自分がやりたいことは見失わず、毎日を過ごしていきたい。できることを追い求めていいと思うし、そこだけはブレたくないと思います」。渡米がいつになろうとも、その時に備えて己を磨くだけ。後輩たちがサッカーに打ち込める日常が戻ることを望みつつ、ポジティブに夢を見据えて邁進していく。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)