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「泣きながら練習する選手も」 五輪選考、フィギュア強国日本ならではの重圧 鈴木明子「精神的に張り詰めた状態が…」

ピーキングのコツとは【写真:片岡祥】
ピーキングのコツとは【写真:片岡祥】

4年に一度の大事な試合に向けて、どうピーキングするのか

 また、短期間のピーキングでは選手の年齢や性別、環境などにも大きく左右されます。

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 例えば10代の若い選手は回復も早く、勢いでピークに持っていける選手もいますが、20代半ば以降になると、いろいろな面で繊細にコントロールする必要が出てきます。また、男子シングルの場合、4回転ジャンプを複数回跳ぶ高難度なプログラムを滑るため、体にかかる負担が非常に大きい。すると、若い選手でも回復に時間がかかる場合もあります。

 女子選手は月経周期による体調の変化という、見えにくい難しさもあります。仕上げていきたい時期にどうしても動きが悪くなる時期にあたってしまい、「こんなんで大丈夫なのかな」と不安になることも。また、PMS(月経前症候群)の影響で感情が揺れ動き、メンタルが不安定になることもあります。私も現役時代、経験がありますが、試合へのプレッシャーで、ボロボロ泣きながら練習している選手もたくさん見てきました。

 ただ、GPファイナルが日本で開催された点はラッキーです。GPファイナルが海外で開催されると、さらに時差の調整が必要になります。私も海外でGPファイナルに出場した時は、全日本までの調整にすごく苦労しました。体がうまく動かないなかで仕上げなければならず、調子が上がらないと焦りや不安も出てくる。そこをコーチと一緒に、やりすぎず、休ませすぎず、うまくコントロールしていく必要があったことを覚えています。

 もちろん、GPファイナルに出場できなかった選手も、代表の座を目指し、異なる時間軸で全日本にピークを合わせてきます。選手たちが4年に一度の大事な試合に向かって、どのように練習を重ね、仕上げてきたのか。そんなことに想いを馳せながら、演技を見たり、試合前後のインタビューに耳を傾けてみたりしください。

全日本に出場するすべての選手に注目してほしい【写真:片岡祥】
全日本に出場するすべての選手に注目してほしい【写真:片岡祥】

 さて、五輪シーズンの全日本は代表争いに注目が集まりますが、テレビや配信で観戦される皆さんにはぜひ、代表候補以外の選手たちの演技にも注目してほしいと思います。

 全日本は国内最高峰の大会です。出場する選手たちは、地区大会、東日本・西日本選手権を勝ち抜いて、ようやくこの舞台にたどり着いた選手ばかり。全員が、スケート人生をかけてこの舞台に立っています。

 出場するすべての選手の覚悟と努力を見守り、応援してもらえたら嬉しいです。

 最後に、フィギュアスケートはシーズンを通して、ショートとフリーのプログラムをどんどんブラッシュアップしていく競技です。ですから、全日本と五輪本番ではプログラムは同じでも演技やジャンプの構成などが変化します。観戦される皆さんにはぜひ、全日本の演技からどんな風に五輪までの期間で磨かれていくのかにも着目し、全日本、そして五輪を楽しんでほしいと思います。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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