W杯優勝を目指す日本がアジア8強で散った重い事実 佐藤寿人の警鐘「5試合で2敗、あまりに淡泊な終了」
サッカーのアジアカップ・カタール大会は3日、準々決勝で世界ランク17位の日本代表は同21位イランに1-2で敗れ、8強敗退となった。同点で迎えた後半アディショナルタイムにPKで決勝点を献上。アジア王座奪還はならなかった。「THE ANSWER」は中継局のレポーターとして決勝トーナメント1回戦まで現地取材していた元日本代表FW佐藤寿人氏の解説を掲載する。優勝を期待されながら、まさかの8強敗退となった森保ジャパン。5試合で2敗を喫した大会を振り返り、佐藤氏は「このレベルの相手にこの内容と結果では、ワールドカップ(W杯)本大会は結果を残すのは難しい」と評し、次回の2026年W杯へ向けた強化に警鐘を鳴らした。(取材・構成=藤井 雅彦)
元日本代表FW佐藤寿人氏が解説
サッカーのアジアカップ・カタール大会は3日、準々決勝で世界ランク17位の日本代表は同21位イランに1-2で敗れ、8強敗退となった。同点で迎えた後半アディショナルタイムにPKで決勝点を献上。アジア王座奪還はならなかった。「THE ANSWER」は中継局のレポーターとして決勝トーナメント1回戦まで現地取材していた元日本代表FW佐藤寿人氏の解説を掲載する。優勝を期待されながら、まさかの8強敗退となった森保ジャパン。5試合で2敗を喫した大会を振り返り、佐藤氏は「このレベルの相手にこの内容と結果では、ワールドカップ(W杯)本大会は結果を残すのは難しい」と評し、次回の2026年W杯へ向けた強化に警鐘を鳴らした。(取材・構成=藤井 雅彦)
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日本の目標はアジアカップ優勝ではなくW杯優勝です。だから、この大会は通過点のはずでした。カタール開催で中東勢との対戦ではアウェイの難しさに直面しながらも、タフな戦いを勝ち抜き、優勝という形で力を示す。そんな青写真を描いてしまうのは、日本全体が現在の代表チームにかつてないほどの期待感を抱いているからです。
それが蓋を開けてみれば準々決勝敗退という失意の結果に終わりました。5試合戦って2敗している事実も重く受け止めなければいけないですし、全試合で失点している事実もフォーカスしていかなければいけない。格下相手や先制したゲームでもしっかりとコントロールできていないという課題も浮き彫りになりました。このレベルの相手にこの内容と結果では、W杯本大会で結果を残すのは難しい。
逆転負けしたイラン戦は、グループリーグで敗れたイラク戦に似ていました。アバウトに長いボールを使われて、セカンドボールを回収できなかった。怖さや圧力を感じたのかもしれませんが、必要以上に恐れてしまった印象があります。決して世界のトップレベルではない相手をリスペクトし過ぎたあまり、1対1での対応も終始後手に回りました。
結果的に失点に関与してしまった板倉滉選手のパフォーマンスが本来の出来から程遠かったのは、誰の目にも明らかでしょう。その原因が過密日程による疲れなのか、バーレーン戦の終盤に負傷した影響なのか、あるいは前半の早い時間帯に警告を受けたことで余裕を失ったのか、断定はできません。
前半は先制したことも含めて悪い内容ではありませんでしたが、後半に入って押し込まれる状況を変えられなかったことが悔やまれます。試合後、森保一監督自身が言及していたように交代カードを切るのが非常に難しい状況だった。今大会初めて先発起用した前田大然選手が持ち前のスプリント能力で攻守に渡って貢献してくれていただけに、1点リードの状況で彼を交代させるのも判断に悩むところでしょう。
結果として1-1になってから最初の交代を行いましたが、投入された南野拓実選手と三笘薫選手はほとんど見せ場を作れなかった。2人のパフォーマンスが問題だったというよりも、チームとして彼らを生かす状況を整えられなかった。望んでいた状況を作れず、後半アディショナルタイムに勝ち越しを許してから攻撃のカードを投入するという、後手に回る采配になってしまいました。