槍玉に挙がる失点シーンより議論すべき日本の問題点 佐藤寿人「後半ATに1得点だけ、気になるのは…」
気になったピッチ内の声の少なさ「自発的な声がもう少しあってもいい」
試合に敗れれば失点シーンが取り沙汰されるのは仕方ないとはいえ、誰かひとりだけのミスで失点するケースは稀です。組織としても個人としてもミスが重なり、チームの失点になるもの。それよりも90分戦って後半アディショナルタイムにセットプレーから1得点しか奪えなかったことをもっと議論すべきでしょう。
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ワールドカップ優勝を目標に掲げている以上、アジアカップのグループリーグでイラクに負けてはいけない。だからこそ原因を徹底的に分析し、同じ轍を踏まないための教訓にしなければいけません。ミスが重なって与えてはいけない時間帯に2失点しましたが、日本には3点以上奪える力があるはず。それくらいの期待値がこのチームと選手にはあります。
気になったのは、大会を通じてピッチ内から声があまり聴こえてこない点です。試合翌日は、試合出場メンバーとそれ以外のメンバーがセパレートで練習を行いますが、通常練習を行うグループで一番大きな声を発しているのは名波浩コーチ。ただ声を出せばいいわけではありませんし、闘志を内に秘めるキャラクターの選手もいるのは百も承知ですが、戦う集団として自発的な声がもう少しあってもいいかもしれない。
イラク戦で2失点目を喫した時、手を叩いてチームを鼓舞しているのは南野選手だけだった気がします。あるいはベンチから堂安律選手が檄を飛ばしている姿も印象的でした。彼のように勝ちたい気持ちを前面に押し出す選手も重要ですし、難しい状況を打破したいというギラギラした思いも大きなエネルギーになります。
永久に勝ち続けるチームはいません。いつか負ける日が来る。それが、アジアカップのトーナメントではなくグループリーグであって良かった。そう思えるように、ここから新たな戦いが始まります。インドネシアはベトナムに勝利し、第3戦で日本に勝利すれば自力でグループリーグ突破を決められる状況ですから、モチベーションは相当高いでしょう。簡単なゲームにはならないかもしれない。
でも、ここで立ち止まっているわけにはいきません。イラク戦で見えた課題を成長につなげて、チームとして強くなっていく必要があります。まずはインドネシアにしっかりと勝利してグループ2位突破を決め、ラウンド16以降の厳しい戦いも勝ち抜き、決勝戦でイラクにリベンジする。そんなストーリーが今大会の最高形です。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)