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「7割の力で何人できるかがアジアとW杯の違いよな」 ベトナム戦で唯一、久保竜彦が違いを感じた日本のアイツ

日本―ベトナム戦を見守る久保竜彦【写真:荒川祐史】
日本―ベトナム戦を見守る久保竜彦【写真:荒川祐史】

「余裕を持てるやつが、前におらんかったよな」

 余裕を持てるやつが、特に前におらんかったよな。南野は決めたけど、2列目やもんな。一番前におらんと。みんな、必死こいとったもんね。

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 伊東も余裕を持ってやりたいんやけど、やっぱ抜けてないもんね。そうしたい(抜きたい)と思ってたんやと思うけど、引っかかってた。決定的な良いパスもあったけど、2、3本。それが決まったかというとね。決まってたら、そういう選手になれるんやろね。

 余裕を持つには、パワーなんじゃないの。持って生まれたもの。オギャーって生まれたときのパワー。『オギャー!』が違うね、わからんけど。大谷(翔平)なんかもそうやろ、きっと。それをどうやって育てるか。そういうやつはまだ(日本に)いっぱいおるかも。

 カタールW杯も、あれだけ必死こいて、ドイツ、スペインに勝った。でも(優勝を目指すチームは)あそこで必死こいてたらダメなんよね。もちろん、必死こくから次につながるかもしれんけど、上まで行って何ができるかっていうのがこれからは大切。

 1986年のW杯のマラドーナはそうやったもんね。本気出してるの決勝トーナメントからやん、みたいな。パワーが明らかに違う。それを多分やってて、わかってるわけで、そういう違いを見せたんは、今日の中では遠藤しかおらんかったね。

 ただ、FWでも期待できるのが一人おると思うけどな。29歳くらいかと思ったら、25歳って言うから。

(第3回へ続く)

■久保 竜彦 / Tatsuhiko Kubo

 1976年6月18日生まれ。福岡・筑前町。筑陽学園高を経て、1995年に広島加入。森保監督(当時選手)とは7シーズンプレーした。2003年に横浜F・マリノスに移籍し、リーグ連覇に貢献。1998年に日本代表デビュー。ジーコジャパンとなった2003年以降は日本人離れした身体能力と強烈な左足でエースとして活躍したが、腰や膝など度重なる怪我により、2006年のW杯ドイツ大会は落選。以降、横浜FC、広島などを渡り歩き、2014年に引退。J1はリーグ戦通算276試合94得点。日本代表は国際Aマッチ通算32試合11得点。引退後は山口・光市に移り住み、コーヒー焙煎や塩作りなど、異色のセカンドキャリアを歩む。来月、初孫が誕生予定。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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