W杯ラグビー日本に現れた「Xファクター的存在」 エディー・ジョーンズが見た「福岡堅樹の役割を担う選手」
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は10日、プールDが行われ、10大会連続10度目の出場となった世界ランク14位・日本が同22位チリに42-12で快勝。計6トライでボーナスポイントを含めた勝ち点5を獲得する好発進となった。「THE ANSWER」では、2015年大会を率いて「ブライトンの奇跡」を演じた元日本代表ヘッドコーチ(HC)で、今大会は豪州代表のHCを務める世界的名将エディー・ジョーンズ氏が特別観戦記を寄稿。日本の勝利を2つの視点から分析し、対戦相手にとって「Xファクター(未知の要因)的存在」となる存在を見出し、「2019年W杯の福岡堅樹のような役割を担う選手になる」と称賛した。(構成=THE ANSWER編集部・佐藤 直子)
エディー・ジョーンズ氏の「THE ANSWER」特別観戦記
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は10日、プールDが行われ、10大会連続10度目の出場となった世界ランク14位・日本が同22位チリに42-12で快勝。計6トライでボーナスポイントを含めた勝ち点5を獲得する好発進となった。「THE ANSWER」では、2015年大会を率いて「ブライトンの奇跡」を演じた元日本代表ヘッドコーチ(HC)で、今大会は豪州代表のHCを務める世界的名将エディー・ジョーンズ氏が特別観戦記を寄稿。日本の勝利を2つの視点から分析し、対戦相手にとって「Xファクター(未知の要因)的存在」となる存在を見出し、「2019年W杯の福岡堅樹のような役割を担う選手になる」と称賛した。(構成=THE ANSWER編集部・佐藤 直子)
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日本が初戦、チリを相手に見事な勝利を飾りました。ここから約1か月にわたる予選プールを戦う上で、白星スタートを切れるかどうか、これは大きな意味を持ちます。結果は42-12の大勝で、ボーナスポイントも加算されて勝ち点5を獲得。素晴らしい白星でした。
この試合を勝利に導いたポイントを2つ、振り返ってみましょう。
1つ目は、W杯初出場となったWTBジョネ・ナイカブラのカウンターアタックです。後半13分にLOリーチ・マイケルがゴール下に決めたトライにつながりました。
大前提として、日本が前半に3トライ3ゴールを決め、21-7と大きなリードを持って後半を迎えられたことが素晴らしかった。体の大きさやパワーといったフィジカル面ではチリに圧倒され、試合開始からまもなく先制トライを許しましたが、相手ファウルを誘いながら流れをキープしたまま後半を迎えることができました。
日本は後半6分、CTBディラン・ライリーが相手パスを故意に叩き落とす反則でイエローカード。シンビンが与えられて1人少ない状況の中、ゴールラインで粘ったものの、チリに後半最初のトライを許しました。21-12と1トライ1ゴール以上の点差はありながらも、ここでチリに流れを明け渡さなかったのがナイカブラのプレーです。
日本のSH流大がラックから出たボールを敵陣深くキックを蹴り込むと、ゴールライン手前からチリのSOロドリゴ・フェルナンデスがハーフウェーラインを越えるキックで応戦しますが、サイドラインを割らず。捕球したFBセミシ・マシレワからパスを受けたナイカブラは、前方から迫り来る相手のディフェンスラインと左に大きく空いたスペースを視野に入れながら、スピードを上げて敵陣に斬り込みました。
敵のタックルをサイドステップでかわすと、縦に走り込んでディフェンスを引きつけてから、左サイドラインに走り込んできたCTB中村亮土にパス。相手選手と交錯して倒れ込んだものの、すぐに起き上がり、中村が内に返したオフロードパスを受けてラックを形成。この段階で体制を整えた日本は波状攻撃を繰り返し、最後はリーチがゴール下に飛び込み、トライを決めました。
ナイカブラは爆発的なスピードとパワーを兼ね揃えたトップクラスの選手です。今回の日本にとって、2019年W杯でキーマンとなった福岡堅樹のような役割を担う選手になるのではないでしょうか。対戦相手にとってはXファクター(未知の要因)的存在。あのカウンターアタックが均衡状態を崩し、相手の想像を超える日本を見せつけることができました。