W杯大金星、日本バスケ史で語り継がれる河村勇輝の衝撃 渡邉拓馬「後半連続3Pの布石も見逃せない」
後半の連続3Pシュートにつながった河村の布石
ただ決めたのではなく、布石も見逃せません。河村選手は第1Qや第2Qで縦にペイントアタックし続けた。ドイツ戦の反省を踏まえて、外から打てそうな場面でも中に切り込む選択をしたわけです。これがゲーム後半の連続3Pシュートにつながりました。決め切る力も大きいですが、しっかりと駆け引きをしていたからこそ相手ディフェンスに的を絞らせなかった。22歳の頭脳プレーです。
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冒頭で話したように渡邊選手や馬場選手は勝利して目に涙を浮かべていましたが、富永選手や河村選手は涼しい顔で勝利を喜んでいた。初戦で自分のパフォーマンスを見せられなかったにもかかわらず、よりモチベーション高くプレーできていたことも含めて、若い世代の良い部分が見えました。
チームとしては、第2Qに苦しい時間を過ごしましたが、全体を通してディフェンスが良かったことが勝因の1つでしょう。フィンランドをしっかりスカウティングし、ローテーションを間違えなかった。ズレができたシーンでも身体を張って守る。コート上の5人が40分間同じ意識でプレーするのは強いチームでは当たり前ですが、格上のチームに対してそれをできたのはトム・ホーバスHCの下で積み上げてきたもの、やってきたことが間違っていなかった証明です。
比江島選手、河村選手、そしてジョシュ・ホーキンソン選手といったBリーガーが活躍したことで、日本にはこんな素晴らしい選手がいるというインパクトを世界に示せたと思います。2026年からBリーグが新たに生まれ変わる構想も発表されたばかりですし、少年少女にも夢を与えるゲームでした。
本当にすごい勝利です。でも、僕はこれが当たり前の勝利になってほしい。欧州の国々と対等に戦えると示したフィンランド戦は、日本が変わったことを示す一歩目に過ぎません。戦いはこれからも続きます。今回のW杯で結果を残し、来年のパリオリンピックは参加するだけでなく、勝利を掴み取るというステージに入りました。
第3戦で対戦するオーストラリアも間違いなく格上で、簡単な試合にはならないでしょう。初戦で敗れたドイツ以上に隙のないチームかもしれませんし、ここまで1勝1敗ということで絶対に負けられないメンタルで臨んでくることが予想されます。日本はフィンランドに勝利した勢いを味方に、でも頭の中はクールに自分たちのバスケットを貫くことで勝機を見出していきたいところです。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)