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涙の8強敗退なでしこ、世界一に届かなかった理由 永里亜紗乃「スコア以上の差、前半の内容が顕著」

2011年W杯優勝で高くなったハードル「8強はサッカーファン以外は話題にもしてくれない」

 突き付けられたのは、厳しい現実でした。世界一を狙うのであれば、このレベルの相手と互角以上に渡り合えないと難しい。スウェーデン戦では決定機を作り、運の要素が日本を後押しすれば勝てた可能性のある試合でした。10回対戦したら3回くらい勝てるかもしれないと思わせる試合だったことも確かです。

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 ただ、差をどうやって埋めていくかにフォーカスしなければいけない。後半、スウェーデンはかなり厳しい状況に追い込まれましたが、それでも耐え抜いたからこそ勝てた。紛れもなく実力です。サッカーは偶然が付き物のスポーツですが、必然を増やしていくことに目を向けなければ成長はありません。

 W杯は4年単位の大会なので、メンバーや戦い方は少なからず変化します。今大会の日本は比較的若い選手が多かったので、多くの選手は4年後も出場するチャンスがあるはず。試合後、泣き崩れている選手もたくさんいました。この悔しさを次につなげるために、自分たちに何が足りなかったのかを考えて成長の糧にしてほしいです。

 2か月半後の10月下旬にはアジア2次予選が始まります。スウェーデン戦で感じたプレッシャーの強さやパススピード、あるいはCKの質を忘れず、世界との差を埋めるためのアプローチを続けなければいけません。ちょうど1年後にパリオリンピックが待っていることを考えると、スウェーデンのようなチームに勝たなければメダル獲得は見えてきません。

 2011年のW杯優勝によってなでしこジャパンに求められるハードルは常に高いものになりました。今大会のベスト8で満足してくれる人はほとんどいないし、サッカーファン以外は話題にもしてくれない。ですが、強くなるために厳しい目は欠かせない。期待されるのは幸せなことです。

 ただしチームとしては、段階を踏まえて明確な目標を立てるべき時期でしょう。常に世界一を目指すと言えば聞こえが良くても、スウェーデン戦で見せつけられた多くの差を考えるとリアリティが欠けているように感じられなくもない。何を目指していくのか、地に足をつけて考えるべき時期に差し掛かっているように思います。

(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)

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