フィギュアスケート靴の知られざる秘密 技術革新が“ジャンプ高難度化”の背景に?
靴をテープで巻くのはなぜ? 靴ひもが切れるハプニングも…
競技を見ていると、靴にまつわるエピソードも生まれる。織田信成はバンクーバー五輪フリーの演技途中でひもが切れ、話題に。紀平梨花は馴染んだ靴で試合に臨むため、足首にテープを巻き、固さの調整もしていた。
【注目】育成、その先へ 少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信する野球育成解決サイト『First-Pitch』はこちらから
「私もテープを使っていました。それもアイスホッケー選手が使うものをアイスホッケー用具の専門店で購入。皆さんが履く革靴も時間が経つと柔らかくなり、履きやすさは増しますが、フィギュア選手の場合は逆に足首が曲がりすぎてしまう。衝撃に耐えられず、ケガにつながるケースもあります。その補強のために靴の足首周りをテーピングすることで固さが生まれます。
織田さんは切れていた靴ひも(の切れ目部分)を縛って使っていました。なぜかといえば、靴ひもを替えるだけでも靴を履く感覚は変わるから。私も靴ひもが切れたら、しばらく縛って使い、替えるタイミングをすごく考えました。ただ、演技の最中にほどける可能性もあるので危険。大会にタイミングが重ならないように見計らって靴ひもを替えていました」
繊細だからこそ、サッカー、陸上などのように練習用と大会用のシューズを使い分けることもできない。「確かにフィギュアスケートでは、ほとんどあり得ないことです」と中野さん。
「同じメーカーとサイズが一緒であれば、ほかの人の靴でも跳べる天才的な選手もいますが、それはごく一部。こだわる人は何十足も履いて試します。メーカーも多くあり、特に今は新しいものがどんどん出てくるので、しっくり来るとか、ちょっと違うとか、多くの選手がこだわっています」
多くの選手が華麗にジャンプを舞い、スピンを見せている今大会。スケート靴がその技術を支えている。
(THE ANSWER編集部)