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羽生結弦が一番成功に近づいた4回転半 本田武史の分析「足りなかったものは日数だけ」

鍵山は「4回転の本数さらに増やせる」、宇野は「平昌五輪から大きく成長」と本田氏は評価した【写真:窪田亮】
鍵山は「4回転の本数さらに増やせる」、宇野は「平昌五輪から大きく成長」と本田氏は評価した【写真:窪田亮】

鍵山は「4回転の本数さらに増やせる」宇野は「平昌五輪から大きく成長」

 銀メダルの鍵山選手は団体戦、SP、フリーいずれも本当に落ち着いている。初出場とは思えないほど、堂々とした滑りでした。

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 私自身も初出場だった1998年長野五輪は練習環境が変わった直後ということもあり、訳が分からない状態。感覚を掴めたのは次の2002年ソルトレイクシティ五輪でした。鍵山選手は18歳にして、勝ち負けではなく自分がやるべきこと、やらなければいけないことををよく理解し、集中している。

 4年後も22歳。どういう風に成長していくかは楽しみの一つ。現状からさらに4回転の本数を増やせるだけの能力があります。

 男子シングルは羽生選手、宇野選手が長く牽引してきましたが、新たな選手の台頭は今後のフィギュア界にとっても重要。鍵山選手と同世代の選手が「じゃあ、次は自分だ」と思い、成長すれば、もっともっと底上げされる。そうした繋がりがあり、今の時代があります。

 銅メダルの宇野選手は、銀メダルを獲得した前回の平昌大会から、ジャンプがなかなか決まらず、凄く苦労した時期が一度ありました。しかし、今のコーチであるステファン・ランビエール氏と出会い、学び、また「世界のトップを目指したい」という気持ちが芽生えた。

 そのためには「今できることより、もっと難しいことに挑戦しなければならない」と思えたことが、彼の大きな成長。高難度のプログラムに五輪で果敢に挑戦したことも平昌五輪より成長した部分。SPに関しては団体戦も個人戦も自己ベスト。素晴らしい大会だったと思います。

 そして、金メダルを獲得したのはチェン選手。SPはもちろん、北京入り後の練習の内容から見ても本当に安定していて、昨日の練習ではどの海外選手も「ノーミスでやっても勝てない」と言うくらい。それだけの安定感と、圧倒的な存在感がありました。

 SP17位と出遅れ、5位に終わった平昌五輪の悔しさを晴らし、金メダルを目指した4年間。だからこその緊張感もあったはず。その中で、あれだけの演技ができたのは北京五輪まで多くの経験を積んだ一方、羽生選手と世界のトップレベルの戦いが繰り返されたからこそ。

 今後、日本勢はチェン選手を追いかける立場です。日本にも能力のある選手は多くいます。「勝つために」と意識しすぎるより、自分ができることを最大限にやることが、最も伸びしろが生かされるだろうと思います。

 今回は出場していませんが、全米選手権でチェン選手に次ぐ2位に入った17歳のイリア・マリニン選手のように4回転を多く跳べるような選手もいる。技術の進化とともに、スケート以外のトレーニングの科学的な進化でフィギュア界がどう変わっていくのか。4年後の想像はつきません。

 まず、五輪後にあるルール改正でいろんなことが変わってきます。その対応をしっかりとしていく必要があるでしょう。

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本田武史


1981年3月23日生まれ、福島県出身。14歳で全日本選手権初優勝を果たすと、98年長野五輪に16歳で初出場。2002年ソルトレークシティ五輪にも出場し、4位入賞を果たした。世界選手権で銅メダルを2度獲得したほか、日本人選手として初めて競技会で4回転ジャンプを3回成功させる偉業を成し遂げるなど、日本男子フィギュア隆盛の礎を築いた。現在はプロフィギュアスケーターとして活躍する傍ら、テレビ解説者、そして指導者として後進の育成に力を注いでいる。
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