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フィギュアスケートの審判は何を見てる? 意外と知らない「ジャッジ」の仕事とは

中野友加里さんも選手時代は審判員との“心のキャッチボール”を大切にしていたと話す【写真:荒川祐史】
中野友加里さんも選手時代は審判員との“心のキャッチボール”を大切にしていたと話す【写真:荒川祐史】

選手時代に大切にしていた「審判員と目を合わせること」

 審判員として見るのは「全体」の動き。「スケートリンク内を俯瞰した全体の流れ、さらに選手の体全体の動きの両方を見て点数をつけています」と中野さん。先入観を持たないことも大切になる。特に、トップ選手になれば、過去のどの出場大会の映像や情報も入ってくる。

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「審判はいかなる場合も、過去の成績、観客の歓声に惑わされてはいけないルールがあります。『過去の演技の印象があるから、このくらいの点数』ではなく、『今、目の前で見ている選手の点数つける』ことを義務付けられています」

 選手時代は審判員との“心のキャッチボール”も大切にしていたという。

「特に海外は3階席が高い位置にあり、すべての人に演技を伝えなければいけない。だけど、点数をつけるのは審判員。観覧している方も見つつ、審判員とは1人ずつと目が合うように滑りました。2005年のスケートカナダで出た時、スタート位置についた時に審判員2人と目が合ったんです。

 私はたまたま正面を向いたポーズだったので。私が笑ったら審判員も笑い返してくれました。選手からすると、『ちゃんと見てくれているんだ』という安心感は、演技をする上で大切でした」

 ビギナーファンからすると、最初を見ていて3回転なのか4回転なのかも分かりづらい。中野さんは審判員目線でアドバイスする。

「多くの選手は1、2番目に最も難しい技を持ってきます。ジャンプの山場にどんな要素を入れるか注目すると、入り口として楽しめます。『さあ、跳びますよ』と助走を少し長く取って力を溜めて構える選手もいます。その直後にどんな大きなジャンプが繰り出されるのか見ても良いかもしれません」

(THE ANSWER編集部)

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中野 友加里

THE ANSWERスペシャリスト フィギュアスケート解説者

1985年8月25日生まれ。愛知県出身。3歳からスケートを始める。現役時代は女子史上3人目の3回転アクセル成功。スピンを得意として国際的に高い評価を受け、「世界一のドーナツスピン」とも言われた。05年NHK杯優勝、GPファイナル3位、08年世界選手権4位など国際舞台でも活躍。全日本選手権は表彰台を3度経験。10年に現役引退後、フジテレビに入社。スポーツ番組のディレクターとして数々の競技を取材し、19年3月に退社。現在は講演活動を行うほか、審判員としても活動。15年に一般男性と結婚し、2児の母。YouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」も人気を集めている。

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