日本、2-1逃げ切りの裏に見たあの日の教訓 松井大輔「ロシアW杯の逆転負け生かされた」
「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、五輪を通して得られる多様な“見方”を随時発信する。南アフリカとの初戦を1-0で勝利したサッカー日本代表は25日にメキシコとの第2戦を迎えた。開始早々に久保建英が先制点を挙げると、PKで堂安律が追加点。終盤に失点を喫したものの、2-1で連勝を飾り、グループ首位に立った。アテネ五輪で10番を背負った元日本代表MF松井大輔(サイゴンFC)はこの試合にどんな「ミカタ」を持ったのか。(構成=藤井 雅彦)
「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#18
「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、五輪を通して得られる多様な“見方”を随時発信する。南アフリカとの初戦を1-0で勝利したサッカー日本代表は25日にメキシコとの第2戦を迎えた。開始早々に久保建英が先制点を挙げると、PKで堂安律が追加点。終盤に失点を喫したものの、2-1で連勝を飾り、グループ首位に立った。アテネ五輪で10番を背負った元日本代表MF松井大輔(サイゴンFC)はこの試合にどんな「ミカタ」を持ったのか。(構成=藤井 雅彦)
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日本は難敵のメキシコを相手に、五輪のホスト国にふさわしい堂々とした戦いを見せてくれました。
立ち上がりから積極的にプレスを仕掛けていく迫力が素晴らしかった。メキシコにボールをつなぐ余裕を与えず、先手を奪うことに成功しました。そして久保建英選手と堂安律選手のゴールで2点をリード。自分たちの時間帯で畳みかけるように得点を奪い、理想的な展開を作り出すことに成功しました。
それに加えて、リードしてからも引くことなく戦えていたのが立派でした。メキシコはボールをつないで自分たちのリズムを作ろうとしてきましたが、それができなかったのは日本が守勢に回らなかったから。守備では引き続き高い位置からプレスを仕掛け、奪ったボールをしっかりつないでチャンスに結び付けていった。個人戦術もさることながらチームとしての共通理解が見えた試合運びでした。
第1戦に勝利して臨んだ第2戦も勝利を明確に目指したはず。勝点を計算して引き分けを狙うと、勝てる試合を落としかねない。リードしている展開でも同じで、そのリードを守ろうとすると相手の思う壺です。2018年のロシア・ワールドカップのベルギー戦で、日本は2-0から逆転負けしました。ほんの少し重心が下がってしまい、相手の勢いに呑まれてしまった。大会や世代は違いますが、過去の教訓がしっかり生かされていると感じました。
そして日本の攻撃の起点になっていたのは、やはり久保選手と堂安選手でした。プレーしている姿から余裕すら感じましたが、彼らにとっては普通なのではないでしょうか。常日頃から欧州のクラブチームで外国籍選手と競争するのが日常で、チームメイトや対戦相手に各国の代表クラスがいる。その環境が当たり前だとすれば、年齢制限のある今大会のレベルはそれほど高く感じないはずです。
2人のコンビネーションは大きな武器で、近い距離で絡むことによって数多くのチャンスが生まれました。だからこそ、そこに3人目や4人目が加わることでオフェンスのバリエーションがさらに増えるはず。メキシコ戦では左サイドに縦へ突破できる右利きの相馬勇紀選手を起用したことで全体のバランスが良くなったように、久保選手や堂安選手と組み合わせることで化学反応が起きるのが理想です。
僕は日本代表で本田圭佑選手と香川真司選手が近い距離でプレーして、そこにどうやって絡むかを常に考えていました。同じように近い位置でプレーする場面もあれば、あえて離れてスペースでボールを受け、1対1を仕掛けるといった工夫をしました。今後、相馬選手や途中出場した三笘薫選手がさらに輝くことで、日本はワンランク上のチームになっていくと思います。