リオ五輪で生まれた2人の柔道金メダリスト 日本男子はなぜ再び世界で勝てたのか
ルール変更への対応も不可欠に、「守る技術も大事に」
一方で野村さんはルール変更といった点でも対応力が試される大会となったことを指摘している。
「5分間の試合の中で“戦い方”というものがあるのですが、現状のルールの中でいくと、守る技術も大事になります。なぜかというと、国際ルールでは『指導』のポイント化が廃止されたからです。以前までは指導2つで『有効』、指導3つになると『技あり』となりました。
ですが今は、指導4つを受けたら反則負けですが、指導を3つまで取られてもポイント化されない。ただ、最終的に同じポイントだった場合、指導数で勝敗をつけます。つまり現行のルールでは、有効を1度取れば“指導を3回受けてもOK”という考え方をする選手が多く、最後の1分~30秒になると逃げ回る選手も増えました。1分間で指導3、4つを受けることはほぼ不可能ですからね」
他にも、実力が拮抗して投げのポイントが取れない時はいかに相手に反則が与えられるようにするかという戦い方もある。世界の舞台で戦略的に戦える柔道家と言えば、100キロ超級の原沢久喜(日本中央競馬会)が決勝で挑んだテディ・リネール(フランス)だろう。原沢は開始8秒で1つ目の指導、そして1分過ぎにも2つ目の指導を受けた。リネールはこれによって“組み合わないスタイル”に終始。リネールも終盤に1つ目の指導を受け、ブーイングを受けたものの逃げ切った。