リオ五輪で生まれた2人の柔道金メダリスト 日本男子はなぜ再び世界で勝てたのか
リオデジャネイロ五輪で7階級合わせて金メダル2個、銀メダル1個、銅メダル4個という好結果を残し、1964年の東京五輪以来となる全階級でのメダル獲得を達成した日本男子柔道。特に脚光を浴びたのは大野将平(旭化成)とベイカー茉秋(東海大)の2人の金メダリストだった。柔道の国際化が進んだこともあり、苦しんできた日本柔道界だが、リオでの復権の理由、そして大野とベイカーの勝利の要因とは何だったのか。
対照的なスタイルを見せた2人の金メダリスト、「どちらも『正解』」
リオデジャネイロ五輪で7階級合わせて金メダル2個、銀メダル1個、銅メダル4個という好結果を残し、1964年の東京五輪以来となる全階級でのメダル獲得を達成した日本男子柔道。特に脚光を浴びたのは大野将平(旭化成)とベイカー茉秋(東海大)の2人の金メダリストだった。ここ近年、柔道の国際化が進んだこともあり、苦しんできた日本柔道界だが、リオでの復権の理由、そして大野とベイカーの勝利の要因とは何だったのか。1996年アトランタ大会、2000年シドニー大会、04年アテネ大会と五輪3連覇を成し遂げた野村忠宏さんに聞いた。
「率直に言うと、いい選手が揃っていたんですよ」
現地リオデジャネイロでコメンテーターも務めた野村さんはこう切り出した。4年前のロンドン五輪では銀メダル2個、銅メダル2個を獲得したものの史上初めて金メダルを獲得できず、“お家芸の危機”と叫ばれた。その中で井上康生監督が就任し、変化があったという。
「井上監督体制になって、柔道のルール変更に対応するために、色々なジャンルから練習方法を取り入れた点は見逃せません。自分たち日本人のスタイルがあるとすれば、それは間合いを取っていくものなんですよね。ただ、今の柔道は“密着型”になっているんです。お互いの間合いがより近づくことで、パワーがより重要視されるようになりました」
日本で脈々と受け継がれる柔道と、世界に広がる“JUDO”の違いはよく話題となる部分ではあるが、間合い一つをとっても違いがある。日本柔道はリオ五輪に向けてそのギャップを看過せずに埋めていったという。