「0-0」の71分間に感じた日本サッカーの進化 松井大輔「相撲に例えるなら寄り切り」
左SBに誰を起用していくのかは課題 その解消が今後のポイントに
次戦以降に向けた修正点を挙げるとすれば、後半に左サイドを2回くらい突破されてピンチを招いた点でしょうか。旗手怜央選手が投入されている時間帯でしたが、彼は左サイドバックが本職の選手ではありません。それでも所属する川崎フロンターレでは無難にこなせているので能力の高さに疑いの余地はないのですが、代表チームでは普段と微妙にバランスが違うのかもしれません。
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今後、左サイドバックに誰を起用していくのかという課題は残りました。ただ、試合中に見せた森保監督の動きはとても素早く、鹿島アントラーズで試合経験を積んでいる町田浩樹選手を投入することで左サイドに蓋をした。そのあたりの対応力や柔軟性は日本が今後勝ち上がっていくためのポイントかもしれません。
サッカーに完璧な試合はほぼありません。課題は常にありますし、勝ちながら反省と修正していくことでチームが強くなります。対戦相手のレベルや状況を差し引いても、初戦の日本は素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたと思います。
僕が出場したアテネ五輪では、海外組がオーバーエイジの小野伸二くんだけで初戦から浮き足立ってしまい、余裕がありませんでした。それが今大会の日本は0-0の時間帯でも焦れずに自分たちのサッカーに徹し、相撲に例えるならば最後はしっかりと寄り切り勝ちした。17年も経っているので当然かもしれませんが、日本サッカーは確実に進化している。それをしっかりと証明してくれた初戦だったと思います。
だからこそ相手のレベルが上がる第2戦のメキシコ戦が楽しみです。グループリーグ突破のためには引き分け以上の結果がほしいですが、メダル獲得に少しでも近づきたいのならば勝利が必要。2連勝でグループリーグ突破を決めて第3戦で選手をターンオーバーするのが理想だからです。
繰り返しになりますが、日本サッカーのレベルは確実に上がっています。ただ周りの国も同じように強くなっていると思うので、さらに大きな向上心や探求心を持って戦い続けてほしい。メキシコやフランスのように個の能力が高い相手に1対1でどれだけ戦えるかが勝敗を左右する大きなポイントになるはずです。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)