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岩渕真奈の成長の裏で残ったなでしこの課題 永里亜紗乃「メダル候補相手には致命傷に」

第2戦以降のキーマンに田中美南を指名「失点をいかに少なくできるか」

 攻撃面に目を移すと、クロスの質とゴール前の入り方に改善の余地があります。他グループの試合ですが、スウェーデンが優勝候補の米国を3-0で破った試合の1点目は、クロスをニアサイドで合わせてゴールが生まれました。出し手と受け手の共通理解があって初めてゴールネットを揺らすことができるのです。

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 日本のクロス&フィニッシュは迫力に欠けているのが現状だと思います。出し手はタイミングと精度が大切で、受け手はどの地点でトップスピードに乗るか。その両方が合致することでサイド攻撃に迫力が生まれ、相手守備陣が守りにくい状況になります。

 好例を挙げるとすれば、後半立ち上がりに左サイドの長谷川唯選手のクロスに田中美南選手が飛び込んだシーンは可能性を感じさせました。田中選手がトップスピードで相手の背後を狙い、そこへ精度の高いボールが入ってきたことでPKを獲得した。こういったシーンを数多く作ればゴールの確率が高まります。

 でもPKは簡単そうに見えてとても難しいので、この失敗を深く考え過ぎずに第2戦以降も思い切りプレーしてほしい。

 得点こそ決められませんでしたが、田中選手は相手の背後を狙って長い距離を走れる選手です。それによって日本の攻撃に推進力が生まれ、味方にスペースを提供することにもつながる。今年からドイツでプレーするようになってキープ力や逞しさが増した印象もあります。PK失敗を取り返すという意味でも、第2戦以降のキーマンに指名させてもらいます。

 その第2戦で戦う英国も初戦のカナダ同様に格上のチームなので、まずはどれだけ失点を少なくできるかがポイントになります。カナダ戦の反省を生かすとすれば、クロスを上げる選手に対してしっかりプレッシャーをかけること。その意識を強く持ってボールサイドに厳しくチェックする必要があります。

 冒頭でも述べたように、自国開催の五輪は特別です。だからこそゴールデンタイムに生放送されることを大きなモチベーションに変えてほしい。普段はあまりサッカーを視聴しない人や、あるいは夏休みに入って夜更かしできる少年少女も、なでしこジャパンの一挙手一投足に熱い視線を注いでいるはず。

 先制されながらも粘り強く戦って追いつき、さらに勝ち越し点を狙う意欲を見せたカナダ戦は次につながる内容の試合でした。これからの戦いで私たちをさらにワクワクさせるようなプレーを見せて、日本の女子サッカーの歴史を塗り替えてほしいですね。

(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)

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