[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

箱根駅伝の注目区間「5、6区」 上り下りだけじゃないワナ、手袋の取捨選択もカギに…

前回に脱水症状を起こした青学大・田村、その裏で起こっていたこととは…

 体調、精神面、あるいは気候条件などにより、突然、脱水症状を起こす選手もいます。私がトレーニングを担当する青山学院大でも、2017年の93回大会で、脱水症状を起こした選手がいました。今回、3区を走る田村和希選手(4年)です。

【注目】育成、その先へ 少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信する野球育成解決サイト『First-Pitch』はこちらから

 彼は1年時から箱根を走る実績のある選手です。3年にあがると、出雲駅伝、全日本大学駅伝でも区間賞を記録。箱根の前も良い状態に仕上がっていました。しかし、レース当日に突然、脱水症状を起こし、彼本来の走りができなくなります。チームは優勝しましたが、彼自身は区間11位という結果に終わりました。

 実は田村選手は、レースの数日前に風邪を引き、熱を下げるために24時間、寝たきりで過ごした日がありました。人の体は、ただ寝ているだけでも水分を失います。そのうえ、田村選手は食事も十分に摂れなかったため、このときから脱水状態気味だったということです。

 体内では糖質1グラムに対して水分3グラムが吸着します。糖質をしっかり体内に蓄えれば、体はスポンジのように保水するのです。しかし、このときの田村選手はご飯を十分に食べられなかったので、体内の糖質が少なく、レース前に一生懸命に水を飲んでも十分に保水できません。

 風邪で寝ていた選手に山のようにご飯を食べろといっても難しく、本人はしっかり食べていたつもりでも、恐らく量が足りず、レース中の脱水症状につながったと思われます。このように脱水症状は、当日の水分補給だけでなく、数日前からの食事の内容も影響するのです。

1 2 3

中野ジェームズ修一

スポーツトレーナー

1971年、長野県生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナー。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球・福原愛、バドミントン・藤井瑞希らの現役時代を支えたほか、プロランナー神野大地、トランポリン競技選手など、多くのトップアスリートから信頼を集める。2014年以降、青山学院大駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。東京・神楽坂に自身が技術責任者を務める会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」がある。主な著書に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集