箱根駅伝の注目区間「5、6区」 上り下りだけじゃないワナ、手袋の取捨選択もカギに…
第94回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)が2、3日に行われる。各校の栄えあるランナーに選ばれた選手たちは母校の襷をつなぐため、懸命に走り抜くが、脱水症状やスタミナ切れといったアクシデントも起こる。その理由は何なのか。3連覇中の青学大でフィジカルトレーナーを務め、卓球の福原愛、バドミントンの藤井瑞希など日本を代表するアスリートの個人指導経験を持つ中野ジェームズ修一氏に聞き、優勝のキーポイントとなる5、6区の難しさについて語ってもらった。
脱水症状、低体温症も…3連覇中の青学大・中野トレーナーが明かす「箱根駅伝独特の難しさ」
第94回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)が2、3日に行われる。各校の栄えあるランナーに選ばれた選手たちは母校の襷をつなぐため、懸命に走り抜くが、脱水症状やスタミナ切れといったアクシデントも起こる。その理由は何なのか。3連覇中の青学大でフィジカルトレーナーを務め、卓球の福原愛、バドミントンの藤井瑞希など日本を代表するアスリートの個人指導経験を持つ中野ジェームズ修一氏に聞き、優勝のキーポイントとなる5、6区の難しさについて語ってもらった。
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限界に挑戦するレース中には、想定外のアクシデントも起こります。皆さんも箱根駅伝で突然の脱水症状やスタミナ切れに苦しむ選手たちの姿を見たことがあると思います。一体、練習を積み、レースに臨んだ選手たちに何が起こっているのか? 箱根駅伝独特の難しさを交えながら、お話しします。
私が選手の近くにいて感じるのは、やはり箱根駅伝という大会が選手たちに与えるプレッシャーの大きさです。それもそのはず、長距離の選手が日本中から注目される大会といえば、オリンピックか箱根駅伝の2つかもしれません。つまり箱根駅伝は、人生に一度あるかないかの大舞台です。成果を挙げたいという気持ちは緊張にもつながるし、メディアにも注目される。
学校の名前を背負うこと、仲間に襷をつなぐ重責など、大きな大会ともなると何かしらのプレッシャーがかかります。一人で臨むほうが、気が楽という選手もいれば、みんなで戦うから怖くない、という選手もいます。
よく「適度な緊張はあったほうがいい」と言いますが、今はあまり、そうとは考えられていません。柔道など一瞬の爆発力が勝負を決める競技であれば、適度な緊張感がプラスに働くこともあるでしょう。しかし、長距離はどれだけエネルギーをムダにせずに走れるかが勝負。ストレスがかかると、筋肉のエネルギー源となるグリコーゲンはどんどん消耗されます。
すると、メンタルが弱い選手はスタートして早い段階でガソリン切れを起こしたり、レースの後半まで持たなくなったりという可能性が高まる。ストレスや緊張はそれだけ体のシステムに影響を与えるのです。