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なぜ、箱根駅伝は20kmでも失速するのか 青学大トレーナーが語る「駅伝」という難しさ

一人でも遅れると、後々のダメージに…万全の準備をしても生まれるドラマ

 また、駅伝は一人でも選手が遅れると、後々のダメージが大きくなりやすい。監督は各選手のタイムを想定しながら、どの時点で何分差を開けば優勝できるなど、と細かい計算を元に、選手の配置を決めます。ですから選手たちは自分のペースだけを守って走ればいいのではなく、遅れが出たら、後々の選手のためにも巻き返さなくてはいけない。これが駅伝の難しさです。

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 例えば1区の選手が想定よりも1、2分遅れて、2区の選手にたすきを渡したとします。どこかで巻き返さないと最終的に順位が下がってしまうため、2区の選手はオーバーペースで走ります。ここでも遅れたら、今度は3区の選手がさらにオーバーペースで突っ込んでいく。選手たちは本来のペース以上の走りをするため潰れる可能性も高く、遅れも累積し、気づいたら大幅に遅れていた、ということが起こります。

 ですから駅伝は、最初に想定通りに走れた学校ほど、後々も余裕をもって通過できる。後から抜こうとするほど、きつくなるのです。

 駅伝はチームで走るので、最終的に誰のところで何分稼げれば勝てる、という計算がうまくいけば勝てます。この計算が一つでも狂うと苦しい。圧倒的に強い選手が1、2人いるチームは強い、といわれる理由はここです。遅れを修正する力のある選手がいれば、挽回できますが、いないと本当に厳しいのです。

 長い距離といろんなシチュエーションのなかで、ペースダウン、ペースアップが繰り返される駅伝は、フィジカル的にみてもとてもタフなレース。ですから万全な準備をしてもアクシデントが起こるし、またドラマも生まれるのです。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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中野ジェームズ修一

スポーツトレーナー

1971年、長野県生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナー。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球・福原愛、バドミントン・藤井瑞希らの現役時代を支えたほか、プロランナー神野大地、トランポリン競技選手など、多くのトップアスリートから信頼を集める。2014年以降、青山学院大駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。東京・神楽坂に自身が技術責任者を務める会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」がある。主な著書に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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