「手ぶらで帰すわけには…」 リオ銅メンバー・江原騎士が受け継ぐ“トビウオの魂”
五輪を超える規模で2年に1度行われる水泳の“世界一決定戦”、世界水泳(テレビ朝日系で独占中継)が7月12日に開幕する。なかでも、注目を集めるのは競泳だ。金メダルを獲得すれば、1年後の東京五輪出場が内定する今大会。「THE ANSWER」は競泳開幕の30日前からカウントダウン連載を行い、出場25選手のインタビューに加え、特別企画を織り交ぜながら大会を盛り上げる。
「世界水泳カウントダウン連載」競泳開幕まであと23日―男子800mリレー江原騎士
五輪を超える規模で2年に1度行われる水泳の“世界一決定戦”、世界水泳(テレビ朝日系で独占中継)が7月12日に開幕する。なかでも、注目を集めるのは競泳だ。金メダルを獲得すれば、1年後の東京五輪出場が内定する今大会。「THE ANSWER」は競泳開幕の30日前からカウントダウン連載を行い、出場25選手のインタビューに加え、特別企画を織り交ぜながら大会を盛り上げる。開幕まであと23日の第8回は、男子800mリレーの江原騎士(ないと・自衛隊)が登場。2016年リオ五輪同種目で銅メダルメンバーだった江原は、受け継いだ“トビウオの魂”を胸に世界に挑む。
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「康介さんを手ぶらで帰すわけにはいかない」――。
12年ロンドン五輪、平泳ぎで五輪2大会連続2冠だった北島康介氏が個人種目でメダルなしに終わった。最後の望みをかけた男子400メートルメドレーリレーで銀メダル。レース後に当時28歳の松田丈志氏が放った名言だ。競泳ジャパンの歴史において、強く記憶に残るシーンだろう。
08、12年200メートルバタフライ銅メダルで2大会連続メダリストとなった松田氏が、16年リオ五輪では800メートルフリーリレーのみ出場。最後の五輪と明言していた先輩に対し、後輩たちは「丈志さんを手ぶらで帰すわけにはいかない」の合言葉で一つになった。
この時、第2泳者を務めたのが江原だった。松田氏、萩野公介、小堀勇気と臨み、800メートルリレーとしては1964年東京五輪以来52年ぶりのメダル。23歳だった江原は松田氏から大舞台に立つ上でのメンタルの重要性を教わった。
「日本代表クラスの選手たちは、技術やパワーはあると思うけど、どうしても最後のひと押しのメンタルを保つことだったり、世界大会の舞台に入った後のモチベーション維持がうまくいかない選手が結果につながっていないというのを教えていただいた。
僕もリオに入ってからちょっと緊張しているのと、ウキウキとの交差がうまくいかなくて、初日の400メートル自由形はボロボロの結果で終わってしまった。リレーに合わせるにあたって、松田さんから『気持ちを強く持て。ここまで練習を積んできて技と力はある。あとは気持ちだけをしっかり持て』と教わった」
400メートル自由形は予選敗退。「メダルを獲るのと獲らないのでは人生変わるぞ」。松田氏の言葉で背筋が伸びた。
松元克央、高橋航太郎、吉田啓祐と臨む今回の世界水泳は、高橋と吉田の2人が代表初選出だ。江原は3大会連続3度目の大舞台。5位だった17年大会と違い、今大会は大黒柱の萩野がいない。12位以内で五輪出場権獲得となるなか、メンバー最年長となった江原には確かなリーダーシップが芽生えている。
「僕もリオの時に『ここがオリンピックか』って規模の大きさにすごい圧倒されてしまった。(高橋、吉田の)2人に関しては、初代表で会場に着いたら『ここが世界水泳の舞台か』という気持ちは生まれると思う。この世界水泳でも自分らしい泳ぎをして結果を残さないといけないというのを、普段の生活や練習中から僕が経験したことを話したり、世界水泳の舞台でも自分らしい泳ぎをするにはどうしたらいいかをミーティング含めて伝えていけたらいいな、とは最年長として思います。
本当に松田さんからいろいろ教わったように、僕がその立場になっているっていうのは不思議なくらいなんですけど、やっぱり伝えていかなきゃいけないこと。吉田君なんか高校生から上がったばかりの選手なので、そのウキウキした気持ちをレースでも持って終えてほしい」