「もう無理かな」 池江璃花子が仲間に漏らした弱音、心の不調から6年ぶりの世界水泳に至るまで
池江「今回の世界水泳は結果を求めていきます」
昨年のメンタルの不調を大一番まで引きずったが、最後は腹をくくって飛び込んだ。予選から「ギアを変えた」とドルフィンキックを思い切り打つ。しかし、ラスト25メートルでトップとは体1つ分の差。誰もが逆転不可能と思ったが、奇跡的な猛追を見せた。最後のひとかきだけは、肘を曲げながら最短距離で壁をタッチ。2位と0秒17差で優勝し、代表権をもぎ取って涙した。
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「記憶がないんですけど、周りの人には『最後のタッチが今までとレベルが違う。高難度の技だった』と言われました」。海外のトップ選手や男子がやる芸当。練習でもやったことがなく、体力が残っていない状態で繰り出すのは困難だが、「無意識です。全然、記憶にない」と土壇場でやってのけた。
「気づいたらタッチして1位になっていた。たぶん、その日は完全に自分のレースにしか集中していなくて、周りのことを一切見ていなかったと思うんですよ。それが良かったのかな」
「早く練習したい」と少し前向きになれたが、4日後の100メートル自由形決勝も心が揺れる。「どうしても負けたくない。でも、負けるかもしれない。でも、勝ちたい」。なんとか奮い立たせ、勝ち切った。
「終わった瞬間は、翌日の50メートルのバタフライが『めっちゃ楽しみ!』という気持ちに変わってくれた。日本一になる練習はしてきたし、そこだけはずっと気持ちも曲げずにやって来た。最後は久しぶりにレースが楽しいと思えた」
練習でもタイムの良かった本命の50メートルバタフライも優勝。翌日の最終日も50メートル自由形を制し、4冠を達成した。5月には国際大会で2戦連続表彰台に上がるなど好調をキープ。今大会は自由形とバタフライの50メートル、100メートルの個人4種目に加え、リレーでも活躍が期待される。
「今が完璧とは全く思っていません。勝負の世界なので勝ちたい、1番であり続けたいという気持ちは常にあります。日本の中で『負けるかも』と思っている自分をそろそろなくしたい。せっかく個人で代表権を獲ることができたので、一番は50メートルバタフライで結果を残したいです。
スタートさえ改善すれば戦えるようになるんじゃないかなと。特に100メートルバタフライは来年のパリ五輪に向けて、タイムも体力も全てを上げていかないといけない。順位ではなく記録。今回の世界水泳は、結果を求めていきます」
初日の個人種目は100メートルバタフライの予選、準決勝。持ち前の弾ける笑顔が飛び出すか。22年ぶり日本開催の世界水泳。競泳がいよいよ幕を開ける。
(終わり)
◆世界水泳 7月14日にアーティスティックスイミング(AS)、飛込から開幕。水球、オープンウォーター、ハイダイビングも行われる。同23日に開幕する競泳は、決勝をテレビ朝日系地上波にて最終日まで8夜連続生放送。ASはBS朝日、飛込はCSテレ朝チャンネルで生放送。
(THE ANSWER編集部)