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【世界水泳】あの最強フェルプスに迫る新怪物 血筋も素晴らしい21歳マルシャンの恐ろしさ

松田さんが注目する日本勢、海外勢の選手とは【写真:徳原隆元】
松田さんが注目する日本勢、海外勢の選手とは【写真:徳原隆元】

急成長マルシャンは「世界記録も十分に可能性ある」

 ミラークは欠場するが、200メートルバタフライには世界トップスイマーの一人、21歳のレオン・マルシャン(フランス)が出場する。昨年のブダペスト大会では、同種目で銀メダルを獲得。銅メダルだった本多との“再戦”も楽しみだが、マルシャンは個人メドレーを最も強みとする選手だ。



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「去年の世界水泳では400メートル、200メートル両方の個人メドレーで優勝しましたが、400メートル個人メドレーではマイケル・フェルプスの保持する世界記録にわずか0秒44に迫るタイムを出しています。ものすごく才能がある選手で、親も2人ともオリンピック選手。そんな選手がマイケル・フェルプスを長年指導したコーチに師事している。つまり才能に加えて最高のメソッド、経験値を持ったところで練習しているわけです。彼はフランス人で1年後に地元でのオリンピックを控えていますし、どこまで実力を伸ばしてくるのか恐ろしさすら感じます。世界水泳での世界記録も十分に可能性がありますね」

 個人メドレーでマルシャンに立ち向かう日本勢は、瀬戸大也(CHARIS&Co.)になる。

「練習環境を変えて、リオデジャネイロオリンピックの女子200メートル平泳ぎで金メダルを獲った金藤理絵選手を教えていた東海大学の加藤(健志)コーチのところに行って、ある意味金メダルを獲るためのメソッドを注入されていて、今までの練習の2倍、3倍と言われるようなトレーニングを積んでいます。正直、伸びしろはマルシャンのほうがありますが、本気で戦おうとしている29歳の瀬戸大也がどう挑むか、楽しみですね」

 話はバタフライに戻る。100メートルには、昨年の世界水泳で銀メダルを獲得した水沼尚輝(新潟医療福祉大職)がいる。

「100メートルの銀メダルは日本で初、本当に快挙だったと思います。彼の強みは、正確無比の泳ぎとペース配分。イメージ、計画通りの泳ぎを遂行できる。今シーズンは腰を痛めたりもあって、不安要素が少しあるなかで進んできました。腰の状況がどうかというのは1つポイントになってくるんですけれども、彼本来の泳ぎができる状況になっていれば、みんなが緊張したり力んだりする決勝で、わずかなチャンスをものにできる力がある。そこには期待したいです」

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松田 丈志

競泳五輪メダリスト 
1984年6月23日生まれ。宮崎県出身。4歳から地元の東海スイミングクラブで水泳を始め、久世由美子コーチの指導により頭角を現すと高校3年で初の日本代表入りを果たした。五輪には04年アテネ大会から4大会連続出場。最も得意とした200メートルバタフライで08年北京、12年ロンドンと2大会連続の銅メダル。ロンドン五輪の400メートルメドレーリレーでは日本男子史上初の銀メダルを獲得した。32歳で出場した16年リオデジャネイロ五輪では、800メートルフリーリレーで52年ぶりの銅メダルを獲得。同年に引退後はスポーツジャーナリストなど多方面で活躍している。

松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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