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【世界水泳】16歳で体験した日本開催の衝撃 寺川綾、競技人生を変えた2001年福岡は「忘れない」

寺川さんが語る、福岡の世界水泳の重み【写真:松橋晶子】
寺川さんが語る、福岡の世界水泳の重み【写真:松橋晶子】

福岡の世界水泳がなければ「競技人生は変わっていた」

 福岡で過ごした鮮烈な時間は、競技人生の糧にもなった。



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「世界のトップクラスの人たちと試合に出させてもらって、毎年代表に入ってこういう経験を積みたいなと思ったり、決勝に残るだけではなく、そこからメダルに絡んでいけるような選手になりたいというのは、福岡の世界水泳を通して思いました。憧れていた日本代表のチームに入ってみて、周りの先輩方のかっこよさと言ったら本当に凄かったです。北島康介さんが世界大会で初めてメダルを獲りましたが、みんなかっこいいな、また一緒に戦っていける選手になりたいという思いがモチベーションとしてつながっていきました」

 その思いとともに福岡を経た寺川さんは翌年、横浜で行われたパンパシフィック選手権の200メートル背泳ぎで銀メダルを獲得、2004年にはアテネ五輪に出場と、日本のトップスイマーの一人として歩んでいく。

「福岡がなかったら、それも変わっていたと思います」

 福岡に限らず世界水泳にも出場し、2011年の上海大会では50メートル背泳ぎで銀メダル、2013年のバルセロナ大会では100メートルと50メートル背泳ぎの双方で銅メダルを獲得している。

「世界水泳は名前の如く、世界一を決める大会です。世界のトップレベルの選手たちが、そこに全力を尽くして、トレーニングを積んでやってくる世界最高峰の戦いでもあります」と切り出し、この大会ならではの重みを語る。

「自分自身を試すチャンスというか、世界水泳で自分のレベルだったりポジションだったりを知る機会なので、どういうふうに戦っていけるのか、どうやったら結果を残せるのだろうか、そういう視点がありましたし、結果を残して翌年につなげていきたいと思っていました。きっと私だけでなく、経験したみんながそうだと思いますし、目標であって、いろいろ学べる舞台でした」

 通常は2年に一度行われる世界水泳だが、新型コロナウイルスの影響により昨年ハンガリーのブダペストで行われ、福岡を挟んで来年2月にはカタールのドーハで開催と、変則日程となっている。それでも、福岡大会の持つ意味は変わらないという。

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寺川 綾

競泳ロンドン五輪銅メダリスト 
1984年11月12日生まれ。大阪府出身。3歳から水泳を始め、近畿大附属高校2年だった2001年に福岡で開催された世界水泳に初出場。翌02年パンパシフィック水泳の女子200メートル背泳ぎで銀メダルを獲得した。五輪には04年アテネと12年ロンドンの2大会に出場。ロンドン五輪では100メートル背泳ぎと400メートルメドレーリレーで銅メダルに輝いた。世界水泳にも通算3度出場し、銀メダルを1つ、銅メダルを2つ獲得。13年12月の現役引退後は、スポーツキャスターをはじめ多方面で活躍する。

松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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