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【世界水泳】池江は「吹っ切れている」大橋は「勝負の楽しさを…」 寺川綾が伝える日本代表の今

寺川さんが語る世界水泳の醍醐味とは【写真:松橋晶子】
寺川さんが語る世界水泳の醍醐味とは【写真:松橋晶子】

池江璃花子は今「すごく吹っ切れている」

 成田と同じ個人メドレーの大橋悠依(イトマン東進)も健在だ。東京五輪で200、400メートル個人メドレーの2冠に輝いた大橋は今回、200メートルのみの出場になる。



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「北島康介さんもそうですし、萩野公介くんもそうですが、頂点を極めた人がモチベーションを保って戦い続けるのはやっぱり大変なことだと感じます。大橋選手も彼女なりにいろんなことにもがき苦しんでいる部分もあると思うんですけど、それでも彼女自身が続けようと決めたので、勝負する楽しさを思い出して戦ってほしいですし、周りのことを気にせずに彼女らしく泳いでほしいという思いはすごくあります」

 池江璃花子(横浜ゴム)も、4月の日本選手権で4冠を達成し、世界水泳に6年ぶりに出場する。

「選考会の時に派遣標準記録を切って勝って、すごく吹っ切れているなという印象はありました。周りはいろいろ言ったり期待したりとかあると思うんですけれど、向かっていくのは彼女本人だと思いますし、結果を出した時に一番嬉しいのも自分だと思うので、できる限りのことをやって終わって笑っていてくれればいいなと思います」

 世界水泳の醍醐味と言えば、世界のトップスイマーが集う点にもある。

 寺川さんが注目選手として挙げたのは、サマー・マッキントッシュ(カナダ)。東京五輪にカナダ選手団最年少の14歳で出場し、昨年の世界水泳ブダペスト大会では女子200メートルバタフライ、400メートル個人メドレーの2冠に輝いた。今年は世界記録も次々と更新している。

「現地で取材してきました。もちろん泳ぎの部分で秀でているものがあって、練習も積極的に頑張っているというのはあるんですけれども、(昨年の)世界水泳で金メダルを獲ったとか、そういう部分では何も思っていなかったんですね。ただ自分に対して挑戦していって、それが結果として表れるのが楽しい、シンプルに水泳を楽しんでいる印象があります。結果にとらわれず挑戦していく姿勢は、あの年齢なのに凄いと思いました。かなりハイレベルな練習をしていましたし、それを自ら進んで、好んでやっているので、それは結果が出るなと感じました。彼女の成長ぶりを、福岡でも発揮してほしいなと思います」

 日本、海外と注目選手も数多い今大会。世界水泳ならではの光景だが、だからこそ寺川さんはこう締めくくる。

「テレビで放送する身ではありますけど、現地でしか感じられない空気感というものがあると思います。これからを担う子どもたちには、ぜひ現地で触れてもらって、世界の水泳の凄さを、水泳の魅力やかっこよさを感じて目指してほしいです。でも、ただ見に行けばそうなるのではなく、選手が結果を残してくれないと憧れは生まれません。そこは選手に頑張ってもらって、その頑張りを見た子どもたちに夢を持ってもらえる、そういう大会になってほしいなと思っています」

(9日の第18、19回は松田丈志さんが登場)

◆世界水泳 7月14日にアーティスティックスイミング(AS)、飛込から開幕。水球、オープンウォーター、ハイダイビングも行われる。同23日に開幕する競泳は、決勝をテレビ朝日系地上波にて最終日まで8夜連続生放送。ASはBS朝日、飛込はCSテレ朝チャンネルで生放送。

(松原 孝臣 / Takaomi Matsubara)

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寺川 綾

競泳ロンドン五輪銅メダリスト 
1984年11月12日生まれ。大阪府出身。3歳から水泳を始め、近畿大附属高校2年だった2001年に福岡で開催された世界水泳に初出場。翌02年パンパシフィック水泳の女子200メートル背泳ぎで銀メダルを獲得した。五輪には04年アテネと12年ロンドンの2大会に出場。ロンドン五輪では100メートル背泳ぎと400メートルメドレーリレーで銅メダルに輝いた。世界水泳にも通算3度出場し、銀メダルを1つ、銅メダルを2つ獲得。13年12月の現役引退後は、スポーツキャスターをはじめ多方面で活躍する。

松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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