【世界水泳】大橋悠依、世界一になっても引退しなかった理由「家族や友人の前で泳いで辞めたい」
「代表権を獲ることが少し当たり前に。些細なこともしっかり喜びたい」
200メートル一本に絞った今季。4月の日本選手権は代表権を勝ち取ったものの、納得のいくタイムには届かず、16歳の成田実生に競り負ける2位だった。
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「自分に期待しすぎていました。年間を通して練習を積めていなかったことが少し出てきてしまったと思います。代表権が懸かっている試合は年に一度。何回やっても緊張すると思いました。タイムを狙いすぎて焦った部分もあったし、久しぶりの有観客で家族やトレーナー、ずっと応援してくれた友人が来てくれていたので、『良いところを見せたい』と張り切りすぎちゃったかなと思う。
たぶん、これ(悩み)が完全になくなることはないんだろうなと。でも、自分で続ける選択をしたからには、やっぱりやり抜くことが自分の一番の使命だと思います。変わらず自分のタイム、感覚を超えるとか、そういうものを目指したい」
自分の決意に応えられるのは自分だけ。ただ、厳しい練習は孤独で、苦しい。そんな日々を支えるものは何なのか。
「五輪が終わってから特に思うのは、一人でやっているのではなく、周りにいろんな人がいてこそできているということ。家族、コーチ、トレーナーもそうですし、平井先生ともよく話をします。たくさんの人に気にかけてもらえたり、アドバイスをもらえたりするのって本当に幸せなこと。だから、支えてくれる人、アドバイスをくれたり、話を聞いてくれたりする人に対して一生懸命やりたい」
人のために泳ぐことで水をかく力が増す。「絶賛悩み中」を解消する唯一の方法は「練習」と即答した。「量も、質もいいものを積み重ねていかないといけない。今の自分に一番足りないもの」。4月の時点で練習量の達成度は、10段階評価でたったの「3」。「疲労困憊ですが、のちの世界選手権や来年に繋がってくる。覚悟を決めて積み重ねることが必要」。強い想いが体をプールに向かわせた。
昨年から日本女子初の「プロスイマー」になった。次世代にも繋がるよう、活動の幅を広げてきた。成田のほか、世界では16歳のサマー・マッキントッシュ(カナダ)が400メートル自由形、400メートル個人メドレーで世界記録を更新。若い世代からの突き上げが激しい中、大橋が大事にしているものは変わらない。
「自分のいい時の泳ぎが一番好きなのでそれを見てもらいたい。新しい選手がたくさん出てくるタイミングだからこそ、自分の泳ぎを振り返っていいところを出していく。(17年世界水泳で)初めてメダルを獲った時は、何も知らなかったのでワクワクしかなかった。『あの頃に戻りたいな』と思うこともあるけど、戻ることはできない。
代表権を獲ることも本当は凄く光栄なことなのに、自分でも、周りの人の中でも、少し当たり前になってしまっていた。些細なこともしっかり喜んで、光栄なことなんだなと思えるように。最初のフレッシュな気持ちを忘れないようにしたい。怖さやたくさん失敗を経験したし、そういうものを力に変えられるのが自分だと思っています。夏はしっかりと決めたいですね」
世界水泳では金メダルを手にしていない。使命を力に変えた時、五輪女王の新たな道が拓かれる。
(24日の第2回は入江陵介が登場)
◆世界水泳 7月14日にアーティスティックスイミング(AS)、飛込から開幕。水球、オープンウォーター、ハイダイビングも行われる。同23日に開幕する競泳は、決勝をテレビ朝日系地上波にて最終日まで8夜連続生放送。ASはBS朝日、飛込はCSテレ朝チャンネルで生放送。
(THE ANSWER編集部)