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月経を「タブー視しない環境作りを」 女性が言いにくい日本社会の変化へ、元五輪選手ら提言

一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)と大阪大学は、5月1日に「スポーツを通して考えるみんなの月経」をテーマにしたシンポジウムを開催した。

UNIVASと大阪大学が「スポーツを通して考えるみんなの月経」をテーマにシンポジウムを開催【写真:大学スポーツ協会提供】
UNIVASと大阪大学が「スポーツを通して考えるみんなの月経」をテーマにシンポジウムを開催【写真:大学スポーツ協会提供】

UNIVASと大阪大学がシンポジウム「スポーツを通して考えるみんなの月経」を開催

 一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)と大阪大学は、5月1日に「スポーツを通して考えるみんなの月経」をテーマにしたシンポジウムを開催した。

 このシンポジウムは、UNIVAS副会長を務める元マラソンランナーの有森裕子氏と、大学スポーツに関わる学生が交流する「大学スポーツありもり会議」の一環として開催。有森氏、北京五輪陸上男子4×100メートルリレー銀メダリストの朝原宣治氏、そして大阪大学大学院の教授陣が登壇し、女性アスリートが抱える月経問題について講義と意見交換を行った。

 第1部でトークショーを行った朝原氏は、自身の大学時代の経験を語った。

 朝原氏は妻であり元アーティスティックスイミング日本代表の史子氏(旧姓・奥野)と大学時代から交際。今回の登壇にあたり、史子氏に現役時代の月経について改めて話を聞いたという。

「大学時代も生理前の腹痛やだるさは聞いていたが、競技に及ぼす影響まで聞くことはなかった。

 アーティスティックスイミングの練習は長時間で量も多い。審美系スポーツ採点競技ということもあり、過剰なダイエットもしていたという。高校時代、半年間、無月経だったと聞き、危ないと思った」

 また、現在は3児(長男・長女・次女)の父親でもある朝原氏。「大学生になる長女が初潮を迎えた時は、妻に聞いてはいたものの、直接、生理について話をすることがなかった。次女は小学6年生。スポーツもやっているので、自分から(生理について)声掛けをしていきたい」と、娘との関わり方についても触れた。

 2部のパネルディスカッションでは、月経時の練習や学生選手と指導者間のコミュニケーションを中心に、登壇者全員が議論を展開。朝原氏は、「男性指導者も月経について、どこまで突っ込んで話を聞いていいのか悩み、遠慮していると思う。皆が恥ずかしいと思ったり、タブー視したりせず、相談できる環境作りが必要」と、男性指導者の視点で課題をあげた。

 人間科学研究科共生学系国際協力学の杉田映理教授は、労働基準法に定められる生理休暇に言及。「47年に日本が世界で初めてこの制度を作ったが、取得率は60年代をピークに下がり、15、16年のデータでは0.9%となっている。アスリートが指導者に対して(月経時の痛みで休みたいなど)言いにくいのと同様、労働者が上司に言いにくいという構造が見られる」と、スポーツ界の月経問題と社会的事象のつながりを指摘した。

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