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病院に通うだけで「不妊治療」はおかしい 公表決断の理由、自分のために使った「妊活」の2文字――ゴルフ・有村智恵「女性アスリートとライフプラン」

大好きなゴルフで周囲の人を幸せにしたい

 いよいよ目前に迫る出産だが、その先のこともしっかりと見据えている。

「私は根本的にゴルフがすごく好きなんですよ。試合に出れば結果を残したいという思いはもちろんありますが、楽しいからっていう思いが一番強いかもしれません。テレビや解説などの仕事でもいろんな発見がありますし、また違った目線でゴルフが見られる。今、復帰している選手たちも絶対にそうだと思います。その楽しさは、他に変えられないからこそ、ゴルフと向き合っている方が多いんだろうなと思います」

 自分自身のゴルフ人生を楽しむことが最優先。そしてもう1つ、有村は自分だけでなく、周囲の人たちをゴルフを通して幸せにしたいと本気で思っている。

「自分自身が動くことで、ゴルフの仕事の可能性が広がったり、ゴルフ界で様々な分野で活躍する人が出てきて、輪が広がり、何かが変わるのであれば、いろいろな活動を積極的にやっていきたい。だから、完全に引退するという気持ちはまったくありません。これからも自分がやりたいことを信じてやっていくだけです」

 その力強い言葉は、彼女が持ち合わせるアスリートの本能のようにも感じられた。出産後の復帰も十分に想像できる。女子ゴルフ界をより良いものにするための思考と行動は、いずれ大きく花開くに違いない。

(「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」5日目はバレーボール・迫田さおりさんが登場)

【ゴルフ・有村智恵さんの「人生で救われた、私のつながり」】

「私自身はゴルフでつながった縁しかありません。今、周りにいる人たちは、みんなゴルフというスポーツを通じて、つながった人たちばかりですから。妊娠、出産のことを考えられるようになったことも、母としてやっている方や助言をくれる人たちが今の自分の軸となり、支えとなっています。もう1つ、宮里藍さんは一番の相談相手でした。私の決断について、いつも背中を押してくれて、肯定の言葉をくれる。米ツアーに行く時も相談し、妊娠と出産もすでに経験されているので、妊活や妊娠の話をするたびに勇気をもらいました。プロゴルファーとしての体の感覚などもアドバイスしてもらっているので、これからも支えていただくと思います」

 ※「THE ANSWER」では今回の企画に協力いただいた皆さんに「あなたが人生で救われたつながり」を聞き、発信しています。

■有村 智恵 / Chie Arimura

 1987年11月22日生まれ。熊本・熊本市出身。10歳からゴルフを始め中学時代に全国大会優勝を果たすと、名門・東北高に進学。卒業後の2006年のプロテストに合格した。08年6月のプロミスレディスでツアー初優勝を飾ると、翌09年は年間5勝を挙げて賞金ランク3位に躍進。12年9月の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯で国内メジャー初制覇を果たした。13年から米ツアーに挑戦し、16年に日本ツアーへ復帰すると、18年のサマンサタバサガールズコレクションで6年ぶりの復活優勝を遂げた。21年12月に結婚を発表。22年11月に妊活で休養を宣言し、昨年11月に第1子妊娠を発表した。日本ツアー通算14勝。近年は30歳以上の女子プロゴルファーの大会「KURE LADY GO CUP」を立ち上げ、ゴルフ番組MCを務めるなど活躍の場を広げている。

(金 明昱 / Myung-wook Kim)


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金 明昱

1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。著書に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。

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