「出産のタイムリミット」を意識した30歳の転機 妊娠公表の裏で葛藤、アスリートとして芽生えた恐怖心――ゴルフ・有村智恵「女性アスリートのライフプラン」
「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「“つながり”がつくる、私たちのニューノーマル」をテーマに1日から8日までアスリートがインタビューに登場する。さまざまな体験をしてきたアスリートといま悩みや課題を抱えている読者をつなぎ、未来に向けたメッセージを届ける。4日目は2000年代後半から日本女子ゴルフ界を長年牽引してきた有村智恵(フリー)が登場する。テーマは「女性アスリートとライフプラン」。結婚・妊娠・出産・育児など、女性にはキャリアに影響を与えるライフイベントが多く存在する。「妊活」公表を経て、36歳で出産を控える有村が語る、1人の女性アスリートとしての人生設計。前編では一気にトップレベルへ駆け上がった20代前半に思い描いていた未来の姿と、30歳を迎えて大きくかけ離れていく現実を知った瞬間を振り返る。(取材・文=金 明昱)
「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」4日目 女性アスリートとライフプラン/有村智恵インタビュー前編
「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「“つながり”がつくる、私たちのニューノーマル」をテーマに1日から8日までアスリートがインタビューに登場する。さまざまな体験をしてきたアスリートといま悩みや課題を抱えている読者をつなぎ、未来に向けたメッセージを届ける。4日目は2000年代後半から日本女子ゴルフ界を長年牽引してきた有村智恵(フリー)が登場する。テーマは「女性アスリートとライフプラン」。結婚・妊娠・出産・育児など、女性にはキャリアに影響を与えるライフイベントが多く存在する。「妊活」公表を経て、36歳で出産を控える有村が語る、1人の女性アスリートとしての人生設計。前編では一気にトップレベルへ駆け上がった20代前半に思い描いていた未来の姿と、30歳を迎えて大きくかけ離れていく現実を知った瞬間を振り返る。(取材・文=金 明昱)
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女子プロゴルファーの有村智恵は昨年11月、自身のインスタグラムを通して第1子を妊娠したことを公表した。現在は実家がある熊本で過ごしながら、出産に向けた準備をしている。
自ら妊娠した事実を公にするアスリートはそう多くはないが、公表した理由について聞くと、こんな答えが返ってきた。
「正直、本音を言うと『発表したくなかった』という思いが強かったです。生まれてくるまで、本当に何があるか分からないですから。妊娠後も『ちゃんと育っているのかな、生むまで育てられるかな』という不安が大きくて、“妊娠を喜ぶ瞬間”というのがなかったんです。だから報告するのも怖かった。でも、私がメディアの仕事をしていたので、お腹が大きくなると隠し切れない状態にもなる。それなら自らちゃんと発表しようと決心しました」
そんな不安と戦いながらの発表だったが、反響は想像以上に大きく、祝福の言葉がたくさん届いた。
「周囲の温かい声を聴いて、本当に妊娠したんだなっていう実感を得ることができました。今は発表して良かったとプラスに捉えています」
国内女子ツアー通算14勝。プロデビュー後は2008年にツアー初優勝、09年は年間5勝して賞金ランキング3位まで上り詰め、名実ともにトッププロの道を駆け上がった。屈指のショットメーカーで、ツアー人気を牽引した選手の1人でもある。
「20代の頃は、今の自分の姿を想像すらできていなかった」と振り返る。実際、プロゴルファーは長く続けられる職業でもあることから、辞め時が難しい競技かもしれない。有村がデビューした当時は、上の世代が活躍していた時代だった。
「私がこの世界に入った時、当然のように30、40代の選手が躍動していました。それに妊娠、出産を経て続けている方も実際にいました。だから私もプロゴルファーって長く活躍できて、出産後もまた戻ってこられるんだなと思っていました」