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「善行はスルーされ、挑戦は叩かれる」 SNSに批判の声も…“自称アイドル”活動の発信を続けるワケ――ゴルフ・菅沼菜々

現代を生きる女性たちへ、菅沼が伝えたいメッセージとは【写真:増田美咲】
現代を生きる女性たちへ、菅沼が伝えたいメッセージとは【写真:増田美咲】

無理に克服するのではなく「自分が壊れない選択」をする

 その構造を理解した上で、彼女はあえて「キラキラした部分」をSNSに載せ続ける。「努力している姿を見せるのはダサい」という美学もあるが、それ以上に「有名な人が発信することで、病気のことも含めて広く伝わる」という信念があるからだ。

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 現代を生きる女性たちへのメッセージを問うと、彼女は迷わずにこう答えた。

「自分の意志を消さないことです。周りに流されず、自分の意見を持つこと。私自身、流されやすくて『私が我慢すればいいや』と思っちゃうタイプだからこそ、そう言いたい。自己犠牲をしてまで我慢する必要はないと思うんです。嫌なことは嫌、やりたいことはやりたいと言える強さを持ってほしい」

 制限のある「広場恐怖症」と共に生き、批判にさらされながらもアイドルを公言する。その生き方こそが、彼女が体現する「次世代のアスリート像」であり、自由な女性の姿だ。「無理して克服」するのではなく、「自分が壊れない選択」をすること。その勇気が、彼女の強さの源泉だ。

 もちろん、今もさまざまな“制限”がある。それでも彼女は今を楽しく生きている。ルートを選び、回避し、遠回りしてでも会場にたどり着く――。それは彼女のゴルフとアイドルの“二刀流”の人生もまさに同じ。その姿は、勝敗とは別の場所で、誰かの背中を力強く押しているに違いない。

【ゴルフ・菅沼菜々さんの「心とカラダが満たされていると感じる瞬間」】

「お腹いっぱいで眠たい時(笑)。あと、日向に座っている時。幸せって、そんなに大きなものじゃなくていいんです。今日渋滞していなかったとか、信号が青だったとか、バンカーのライが良かったとか……。私生活も同じ。ちょっとポジティブに変換するだけで、人生のルートは自分で作れるんです。私は明日も、そんな小さな幸せを拾いながら、自分らしいルートで会場に向かいます。そんな小さなラッキーをポジティブに変換するだけで、生き方はガラッと変わります」

※「THE ANSWER」では今回の企画に協力いただいた皆さんに「心とカラダが満たされていると感じる瞬間」を聞き、発信しています。

■菅沼 菜々 / Nana Suganuma

 2000年2月10日生まれ。東京都出身。あいおいニッセイ同和損保所属。父の影響で5歳からゴルフを始め、名門・埼玉栄高に進学。17年の日本ジュニアゴルフ選手権を制覇し、翌18年のプロテストに一発合格した。プロ2年目の20年シーズン開幕前に、不安障害の一種である広場恐怖症を抱えていることを告白。飛行機や新幹線などの公共交通機関の利用が難しいため、車で移動可能な大会のみに参加している。23年8月のNEC軽井沢72ゴルフトーナメントで悲願のツアー初優勝。10月のNOBUTA GROUPマスターズGCレディースも制して2勝目を挙げた。24年はシード権を失う苦しいシーズンとなったが、25年5月のパナソニックオープンレディースで約1年半ぶりの復活優勝。アイドル好きとしても知られ、今年2月には「君の救世主になりたくて!」でCDデビューを果たした。

(金 明昱 / Myung-wook Kim)


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金 明昱

1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。著書に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。

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