先輩の言葉に「そういう未来もあるのか」 五輪金メダルから1年半、引退発表の裏にあった本心――柔道・角田夏実

王者健在をアピールも…気づいていた変化
25年2月。パリ五輪後、休養期間を経た角田さんは、グランドスラム・バクー大会に出場した。結果は、5大会連続の金メダル。王者健在をアピールした。
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「この時、トレーニングも練習も減量も、五輪までと同様に3か月かけて一気に体を作りました。だけど体の変化も感じていて。五輪を目指すような競技生活はもう無理かもしれないと、ちょっと気づいていました」
届きそうで届かなかった東京五輪後、『もう少し、もう少しで(五輪に)届く』と自分に言い聞かせながら、ガムシャラに戦ってきた。ロサンゼルス五輪まで、さらに3年。果たして以前と同じことが、今の自分にできるのだろうかと自問自答を繰り返した。
「年齢を重ねていくと体力面は落ちていくし、減量で思い通りに体が動かなくなったりもする。長年ケガも繰り返してきた。パリ五輪まで無理をしてきたことが、思った以上に後を引きました。
若く、強い選手が次々と出てくる日本で力を保つには、今までよりもさらに厳しい時間が待っている。ロスを目指し、頑張って大会に出場できたとしてもできなかったとしても、もう二度と柔道に関わりたくないほど、柔道を嫌いになりそうだと思ってしまった」
一方で、五輪後、一気に広がったセカンドキャリアの可能性にワクワクした。
「メディアや国内外の道場でいろいろな仕事を経験したり勉強したりするなか、セカンドキャリアもすごく楽しくなるんだろうな、という思いが生まれました。
でも、試合に出るからには優勝したいし、全力を尽くしたい。そうなると、他の仕事はどうしても二の次になります。どこに重きを置けばいいのかと葛藤し、柔道にも仕事にも思い切り打ち込めなかった。このままでは両方とも、中途半端になると感じました」
ずっと、子どもが欲しいとも思っていた。夢のまた夢だった五輪で金メダルを取るという大きな目標を達成した今、次のステップは、競技者としてではなく、別の道で見つけてもいいのかもしれない。角田さんは第一線から退くことを決める。
「第一線で戦う競技者でいるよりも、大好きな柔道のために、自分は何ができるかを考えることが楽しかった。そんな自分が一番いいな、と思ったんです。引退を表明した今は、やっと柔道選手という部分での肩の荷が下りたというか。新たなキャリアに向かって全力で取り組めているので、すごく気持ちがいいです」
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