「投げるのが怖かった」侍J監督を救った豪州の光景 進む国際化「日本が一番でなくなる」日への覚悟

目標を見失った時…豪州で感じた「野球って楽しくやるもの」
知り合いのつてをたどってオーストラリアに渡り、現地の女子クラブチームに飛び込んだ。「生活があって仕事があって、その中で野球をしている人たちの集まりで……」。野球に向き合う姿勢が新鮮だった。子どもがいるお母さんがいれば、50歳で野球を始めたという人もいた。
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「野球って楽しいんだ、楽しくやるものなんだと思い出させてもらいました。結果はもちろん大事なんですが、それだけじゃないと。追い求めすぎていたなと思ったんです。好きだからやっていたはずなのに」
その後女子プロ野球でもプレーし、2020年から侍ジャパン女子代表の監督を務める。まだまだ少ない女性指導者の一人だ。オーストラリアとの関係は今も、選手を送り出したり、受け入れたりという形で続いている。「悩んでいる選手がいたら、海外に行っておいで、見ておいでと伝えることもできる。指導者としては一つの引き出しになっています」。
日本は女子野球の世界ランキングでずっとトップを守っている。ワールドカップは昨年まで7連覇中。今年も11月のアジアカップで全勝優勝を果たした。
ただ、来年は米国で女子プロ野球「WPBL」がスタートする。11月にはドラフト会議が行われ、日本からも長く代表のエースを張る里綾実投手が1巡目(全体2位)でロサンゼルスから指名された。他にも巨人女子チームの島野愛友利投手ら、計10選手が指名を受けた。
中島監督も「まだどうなるか不透明な部分はありますが、世界の選手が目標にするリーグができれば、まず米国の競技人口が増えて強くなると思います。そうすると日本が一番ではなくなる日が来るかもしれません」と危機感を口にする。「ただ、そこからがスタートなんです」と、世界の国が競り合って、女子野球の世界を発展させていく構図を思い描いている。その時代の主役が、この日野球の楽しさを伝えた子どもたちだ。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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