27歳、OLから異色の転身…未経験でビーチバレー選手へ 捨てた安定「私は後悔しない選択を…」

仕事と競技を両立 午前3時45分起きで練習→フルタイム勤務
「仕事に慣れてきて、趣味を見つけたいなと思って」。関口の場合、やっぱりスポーツだった。選んだのは、馴染みのあるバレーボール。インドアバレーとビーチバレーの二刀流で“復帰”した。「最初は何もできなくて(笑)」。軽い気持ちで始めたが、しかし――。
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「ビーチバレーが楽しくなっちゃって。自分が上手くなればなるほど、勝ちに近いスポーツ。インドアは6人だけど、ビーチは2人なので、個人のポテンシャルや技術が大きく反映される。コートが広い分、どう守るかを考えながらやる。戦略がはまった時が楽しいんです」
トップ選手は春高バレーに出場した選手や強豪校で鍛えられた選手ばかり。その頃、やりを握っていた関口にとって簡単ではない挑戦だったが、覚悟を決めた。
時間の融通が利きやすい別の会社に転職。フルタイムで働きながら、練習は週に3~4回程度、大森や平塚、鵠沼などで早い時は午前5時半から3時間程度行う。起床は3時45分。練習を終えると都内の職場に直行する。練習用具と仕事道具の詰まった大きなバッグがトレードマークだ。
レシーブやトスといった細かい技術はキャリアが浅い分、苦労したが、やり投げで鍛えた筋力から生み出す独特の軌道で“伸びるサーブ”を武器として磨いた。
終業後には、今年5月に加入したバレーボールの実業団チーム「東京スリジエ」の練習に参加することも。「私の場合、バレーボール歴が短いのでまだまだボールを触れば触るほど上手くなっている実感がある。東京スリジエに入団したのもその理由。ただ、家に帰ったらぐったりしています」と苦笑い。4~11月のシーズン中は、休日を使って国内外の大会に参戦。スポンサーを探して営業もこなし、多忙な日々を過ごす。
ビーチバレーは個人ポイント制の競技。全国各地の大会や、時には海外の大会にも参加し、ポイントを積み上げることが大舞台出場に繋がる。国内最高峰がジャパンツアー。関口は4月の第1戦平塚大会に水上和葉とのペアで念願の初出場を果たしたが、9位という結果だった。
競技歴3年で国内ランキング30位を記録。着々と実力を伸ばしているが、屈辱を味わうこともあった。昨夏、地方大会で高校生にまさかの敗戦。「『あれ、今まで何をして来たんだろう』『やってきたことが間違っていた』と感じて辞めたくもなった」。初めて抱いた感情。それでも真摯に競技に向き合った。「どんな相手も勝ちにきている。自分のマインドを変えた」。目標への道を邪魔する変なプライドは捨てることにした。
「報われない努力もある。でも私は、積み上げてきたことが結果に結びつく瞬間を何度も経験してきた。だからこそ、スポーツの面白さって“努力が力になる”ことだと信じている」
虚しさを超える喜び、そして楽しさがあるから、今日もまたボールを追いかけている。
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